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その男Glass-Jaw-Hopperグラス・ジョー・ホッパー

さらばトルネード

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野茂がマウンドから姿を消して久しい・・・・・

大リーグの野茂は本当にかっこよかった・・・・・

よくわからん細かい記録を更新中のイチローよりバッサバッサと独特のフォームで大リーグの大男をキリキリ舞いさせる姿はインパクトがあった・・・・・

ホームラン本数記録とか奪三振記録とかわかりやすい記録が最近は打率だの何だのこまい記録ばかりだ。





関係無いが「巨人の星」の星親子は何故あの魔球に「大リーグボール」なんて名前をつけたんだろう?

大リーガーなんて中日のオズマぐらいしか対戦してないのに・・・・・・




まぁいいや・・・・・・


トルネード投法・・・・・・・

小学校時代俺は既にトルネード投法を習得したピッチャーだった・・・・・・

あれは間違いなくトルネード投法だ。


元々俺はそんなに球の速い選手ではなかった・・・・・・

しかし練習中に気付いたのだ・・・・・


近距離・・・・・ピッチャーからキャッチャーの距離でも遠投する時みたいに全身をフルに使って投げきれば凄い球が投げれる・・・・・・

大抵のピッチャーはそのキャッチャーまでの距離を考えてどこか力をセーブする・・・・・
そう、何割かの力はコントロールの為に使うのだ・・・・・


球の遅い俺でも全パワーを投げる力に注げば速い球は投げられる・・・・・



俺には秘密があった・・・・・・

俺の野球帽のつばの左側に二箇所の布のほつれがあった・・・・・

ダランと緑の糸が視界に入る・・・・・


一番左の糸をバッターの位置に合わせ、後は思いっ切り振りかぶって遠投のつもりで投げる・・・・・・

普通こんな投げ方をすれば暴投ばかりであろうが、俺は首を打者に投げながら向けた時に今度はやや真ん中寄りの右側のダランと垂れた糸の位置で首を止めるのだ・・・・・・

すると俺の投げた球はピッタリキャッチャーに向かって走った・・・・・・

多分その位置で打者に照準を合わせ振りかぶって投げ、首を止めると当時の俺の腕の長さや筋力の具合、体のねじれから丁度良い位置に球は走ったのだろう・・・・・・

イメージは外野からホームに力一杯遠投する感じだ。

そんな投げ方でもピッタリストライクゾーンに走れば凄い剛速球になる。

つまり帽子の二箇所のほつれは俺にとって照準機になったのだ・・・・・

偶然が生んだ照準機のほつれ・・・・・・・





それを武器にそれまで目立たない選手だった俺はレギュラーになった。

まぁそんなに強くなくレベルも低いチームだったって事もあるが、いきなりレギュラーでピッチャーになったのだ・・・・・・


その投法で俺のチームは勝ち続けた・・・・・


俺の全身全部使って投げ切る球は面白いように三振を取る。
こっちは遠投のつもりで投げ切る球は小学生の打者には打てなかった。

後先を考えず力一杯で相手も見ていないように見える不思議な投法・・・・・・

チームメイトからはよくそんな投げ方でコントロール出来るなぁ~と不思議がられた。

監督はあまり熱心な監督では無く、放任主義なおじさんだったので俺のイレギュラーなフォームを矯正する事も無く好きに投げさせていた。


チームは勝ち進みとうとう地区大会に・・・・・・


なんやかんや言って小学生のチーム・・・・・
ピッチャーが一人頑張って相手を抑えれば何とか勝てるのだ。




もちろんピッチャーは俺である・・・・・



試合に向かう時、俺は違和感を覚える・・・・・

グラブが変だ・・・・・バットも・・・・・そして帽子も・・・・・・


ほつれがない!!!

俺の様子に気付いた付いて来たオトンが俺が寝た後道具の手入れをしてやったとちょっと得意そうに言った・・・・・・

それまで別に関心が無かったのに、ちょっと大きな試合で息子が晴れ舞台に立つのでやや使い込んだ野球道具や帽子を酒でも飲みながらご機嫌で綺麗にしてしまったのだろう・・・・・

頼りのダランと下がった糸は糸バサミでも切ったのか痕跡も無かった・・・・・







試合で俺の球は荒れに荒れた・・・・・・・

まったくストライクが入らない・・・・・

実際糸が無くてもちゃんと位置を推測すれば同じ様な球を投げれたかもしれないけど、その糸が無いって事が完全に俺のメンタル部分と自信を失わせた。

暴投とデッドボールの連続で気の小さい監督は相手に気を使ってすぐに俺を降板した・・・・・・・



俺の野球人生は終わった・・・・・
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子供の道具を勝手に触ってはいけない・・・・・




後日談・・・・・




俺の高校は非常に厳しいスパルタ進学高校だった・・・・・
今では考えられないような高校・・・教師は平気で生徒を殴るような高校・・・・・

髪は坊主頭でダサい制服にダサい鞄・・・・・

中でも生徒達に不評だったのは補助バッグ・・・・・真ん中のポケットにでっかく高校の校章のロゴが印刷されていた・・・・・


俺はそのロゴが入っているパーツを少しづつはがしていった。
1糸づつ1糸づつ・・・・・

不定期にいきなり行われる持ち物検査でもバレないよう細心の注意をしながら毎日1糸づつ1糸づつ・・・・・


ある日俺は朝出掛けにそのバッグに違和感を覚える・・・・・

俺が少しづつ少しづつはがしたパーツがしっかりくっ付いていた・・・・・


オトンが取れかかっていたからしっかり瞬間接着剤でくっつけておいてやったと得意そうに言った・・・・・・・





子供の道具を勝手に触ってはいけない・・・・・



by glass-jaw-hopper | 2008-06-04 00:49 |

ガラスの顎のリスクでジャンプし続けるバッタ
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