ジャイアンを殺しに
小学生の頃、ジャイアンのようなガキ大将がいた。
団地から郊外の一軒家に引っ越して新しく通い出した小学校に君臨していた。
身体が他の小学生より一回り大きく担任の先生ぐらいあった。
小学生なのに女の先生より大きかった。
体格も良くて力もあったので誰も逆らえない状態である。
仲間内でそのジャイアンに絡まれた場合は友を裏切って逃げても良いなんて暗黙のルールもあったぐらいの絶対的な番長である。
イメージで言えば安岡力也である。
性格も凶暴で粗暴・・・誰も逆らわないので勝手し放題・・・・
サッカー部キャプテンでもあるそいつの脚力は強力で校庭のボールを片付けの際に運ぶのが面倒だと蹴ると蹴られた数個のボールは反対側の体育倉庫までドゴン!ドゴン!と蹴られてねじれて飛んで行った。
あんな足で蹴られたらひとたまりも無いだろう。
市街地中心部から引っ越して来た転校生の俺は何かと目立っていた。
最初の理科室での実験で二酸化マンガンを入れ過ぎてフラスコを爆発させてしまって以来何かと危ないヤツと思われていたのだ。
もう出来上がった力関係の組に途中から混ざった異分子・・・自分自身ポジションが定まらず不安定であった。
そんな俺は些細な事でそのガキ大将ジャイアンに目を付けらて喧嘩になった。
敵うはずがなかった・・・・・体格が違い過ぎる・・・
完膚なきまでやられて俺はへたりながら考えた・・・・・
これは卑怯ではないか???
まるで大人と子供の喧嘩である。
体重差だって20キロはありヘビー級とフェザー級並のハンデだ。
俺はヨタヨタと立ち上がり家までダッシュで戻ると爺ちゃんのドスを持って学校に戻った。
画家であり大学で美術を教え日本画の画家であった爺ちゃんは入れ墨のデザインの研究している時仲良くなったヤクザから先生先生と慕われドスを貰って資料として持っていたのだ。
当時はまだ銃刀法もやかましくはなかったけど明らかに不法所持である。
普段からこの世で一番確実な武器は日本刀であると言っていた。
拳銃なんかいざって時素人が撃っても当たるもんじゃない、短い刀を腰に構えて体ごと相手の懐に突っ込むのが確実な殺し方だ。それが正しい暗殺であると日本暗殺史が示している。明治新政府の平民構成鉄砲隊は捨て身で突っ込んで来る旧士族の抜刀隊に恐れをなして散り散りに逃げた。・・・・・なんて言っていた。
やはり画家である芸術家の爺ちゃんはちょっと跳んでいて変わり者であり孫にこんな話をよくしていたのだ。
高齢に関わらず急にボクシングを習い街でちょっかい出して来た浮浪者を一撃したりまったく年寄りの冷や水を地で行く爺ちゃんで何故か俺と妙に気があったのだ。
仲間と別れ単身で校門から出て来たジャイアンは通学路でスラリと鞘を抜いてドスを構えた俺を見て顔色が変わった。
ジュラ刀(ジュラルミン製の模造刀)には無い本身(本物の刀)のオーラと俺の本気の殺意を感じて震え上がった。
喧嘩の時に尖った鉛筆一本でも相手が握っていたら怖いのに日本刀である。
カッターナイフでも勝てないのに日本刀である。
構えた俺の目も座っていたに違いない。
余裕こいていた本職の侍が本気でドス持って捨て身で突っ込んで来ようとしている格下の渡世人にビビった感じか・・・・・
喧嘩に負けた事を根に持ち刀持って引き帰す卑怯な俺・・・・・・
でも俺は俺なりにジャイアンこそ卑怯だと思っていた。
20キロの体格差はもはや武器に等しい・・・・身長だって頭一個分でかい。
明らかに小さい相手を本気で殴り蹴ったのだ。
刀持って立っている時息が苦しいのは興奮しているだけではなくてどこかあばら骨や筋肉にダメージがあったのかも知れない。
ジャイアンは本気で謝った。
それだけ俺が刺し違えても本気で殺しに来たと感じたのだろう・・・・・
お互い痛い小学生である。
それ以来ジャイアンが俺に絡んで来る事はなかった。
コイツは怒らせたらまずいと思ったようだ。
小学生にして男社会は舐められたら終わりだとわかった。
やられてもかまわない・・・・・だけどそのままにしてはダメだ。
やりかえせ・・・それが持論である。
その後小学校を卒業し同じ中学に進んだけどまったくの別クラスになり関わる事はなかった。
ジャイアンは増々でかくなり相変わらず番長的な存在でサッカー部でその自慢の脚力を生かして活躍していた。
でも俺の日本刀事件で学習したのか無下に人をいじめなくなったようだ。
俺は俺で刀持って暴れた事も忘れ部活に熱中しそれらしい中学時代を送っていた。
中学生になった夏に爺ちゃんは亡くなりあのドスは婆ちゃんがどこかで処分したらしく無くなってしまった。
やられたらやりかえせ・・・その持論は今でも変わらない。
団地から郊外の一軒家に引っ越して新しく通い出した小学校に君臨していた。
身体が他の小学生より一回り大きく担任の先生ぐらいあった。
小学生なのに女の先生より大きかった。
体格も良くて力もあったので誰も逆らえない状態である。
仲間内でそのジャイアンに絡まれた場合は友を裏切って逃げても良いなんて暗黙のルールもあったぐらいの絶対的な番長である。
イメージで言えば安岡力也である。
性格も凶暴で粗暴・・・誰も逆らわないので勝手し放題・・・・
サッカー部キャプテンでもあるそいつの脚力は強力で校庭のボールを片付けの際に運ぶのが面倒だと蹴ると蹴られた数個のボールは反対側の体育倉庫までドゴン!ドゴン!と蹴られてねじれて飛んで行った。
あんな足で蹴られたらひとたまりも無いだろう。
市街地中心部から引っ越して来た転校生の俺は何かと目立っていた。
最初の理科室での実験で二酸化マンガンを入れ過ぎてフラスコを爆発させてしまって以来何かと危ないヤツと思われていたのだ。
もう出来上がった力関係の組に途中から混ざった異分子・・・自分自身ポジションが定まらず不安定であった。
そんな俺は些細な事でそのガキ大将ジャイアンに目を付けらて喧嘩になった。
敵うはずがなかった・・・・・体格が違い過ぎる・・・
完膚なきまでやられて俺はへたりながら考えた・・・・・
これは卑怯ではないか???
まるで大人と子供の喧嘩である。
体重差だって20キロはありヘビー級とフェザー級並のハンデだ。
俺はヨタヨタと立ち上がり家までダッシュで戻ると爺ちゃんのドスを持って学校に戻った。
画家であり大学で美術を教え日本画の画家であった爺ちゃんは入れ墨のデザインの研究している時仲良くなったヤクザから先生先生と慕われドスを貰って資料として持っていたのだ。
当時はまだ銃刀法もやかましくはなかったけど明らかに不法所持である。
普段からこの世で一番確実な武器は日本刀であると言っていた。
拳銃なんかいざって時素人が撃っても当たるもんじゃない、短い刀を腰に構えて体ごと相手の懐に突っ込むのが確実な殺し方だ。それが正しい暗殺であると日本暗殺史が示している。明治新政府の平民構成鉄砲隊は捨て身で突っ込んで来る旧士族の抜刀隊に恐れをなして散り散りに逃げた。・・・・・なんて言っていた。
やはり画家である芸術家の爺ちゃんはちょっと跳んでいて変わり者であり孫にこんな話をよくしていたのだ。
高齢に関わらず急にボクシングを習い街でちょっかい出して来た浮浪者を一撃したりまったく年寄りの冷や水を地で行く爺ちゃんで何故か俺と妙に気があったのだ。
仲間と別れ単身で校門から出て来たジャイアンは通学路でスラリと鞘を抜いてドスを構えた俺を見て顔色が変わった。
ジュラ刀(ジュラルミン製の模造刀)には無い本身(本物の刀)のオーラと俺の本気の殺意を感じて震え上がった。
喧嘩の時に尖った鉛筆一本でも相手が握っていたら怖いのに日本刀である。
カッターナイフでも勝てないのに日本刀である。
構えた俺の目も座っていたに違いない。
余裕こいていた本職の侍が本気でドス持って捨て身で突っ込んで来ようとしている格下の渡世人にビビった感じか・・・・・
喧嘩に負けた事を根に持ち刀持って引き帰す卑怯な俺・・・・・・
でも俺は俺なりにジャイアンこそ卑怯だと思っていた。
20キロの体格差はもはや武器に等しい・・・・身長だって頭一個分でかい。
明らかに小さい相手を本気で殴り蹴ったのだ。
刀持って立っている時息が苦しいのは興奮しているだけではなくてどこかあばら骨や筋肉にダメージがあったのかも知れない。
ジャイアンは本気で謝った。
それだけ俺が刺し違えても本気で殺しに来たと感じたのだろう・・・・・
お互い痛い小学生である。
それ以来ジャイアンが俺に絡んで来る事はなかった。
コイツは怒らせたらまずいと思ったようだ。
小学生にして男社会は舐められたら終わりだとわかった。
やられてもかまわない・・・・・だけどそのままにしてはダメだ。
やりかえせ・・・それが持論である。
その後小学校を卒業し同じ中学に進んだけどまったくの別クラスになり関わる事はなかった。
ジャイアンは増々でかくなり相変わらず番長的な存在でサッカー部でその自慢の脚力を生かして活躍していた。
でも俺の日本刀事件で学習したのか無下に人をいじめなくなったようだ。
俺は俺で刀持って暴れた事も忘れ部活に熱中しそれらしい中学時代を送っていた。
中学生になった夏に爺ちゃんは亡くなりあのドスは婆ちゃんがどこかで処分したらしく無くなってしまった。
やられたらやりかえせ・・・その持論は今でも変わらない。
by glass-jaw-hopper
| 2013-09-03 00:07
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