路上の男達、男の仕事
シドニー、モスクワ、ニューヨーク、ロンドン、パリ、北京、ソウル、上海、シンガポール、ミラノ・・・
世界中どこの国に行っても工事しているのに出くわす。
まったくもって男の世界の仕事に従事している男達・・・・
俺は若い頃好んでこういう仕事のバイトをしていた。
今のデスクワーク以外全て仕事は外の仕事だった。
冬の寒い日も、うだるような暑い夏の日も日焼けして埃にまみれながら仕事した。
葛西の水族館も造った。
調布パルコも造った。
その他諸々都内の建築物や道を造った。
だから俺の作品は都内のあちこちにあるのだ。
今の仕事みたいに紙面媒体じゃないパソコンの中でもない、でかい建築物が多分今世紀中は誇らしげに建っている。
男が男である仕事・・・・・それは何だかカッコイイのだ。
学生時代から卒業しての数年、俺のお気に入りのバイトはズバリ「土方」だった。
実に色々なバイトをやった・・・引っ越し屋、工場、警備員、ヤクザ、運送屋、清掃員、瓦屋、鳶職、学習教材セールスマン、医者・・・・・随分たくさんのバイトをやっていたのだ。
何故か知的労働より圧倒的に肉体労働が多かったけど・・・・
その中でも「土方」つまり土木作業員程いいバイトはなかった。
当時はバブルの時代・・・
朝6時半に高田馬場にあるある公園に行くとわんさか全国から集まった土木作業員らが仕事待ちでたむろしていた。
そこにワゴン車で色んな建設現場の手配師がやってきて希望者を数人づつ選んでは現場に運ぶのだ。
前金で1万1千円が相場・・・前金ってのが凄いよな〜持ち逃げするヤツいなかったのかなぁ〜・・・
都内のあちこち行ったなぁ〜
何度も書くが葛西の水族館も造ったし、調布パルコも造った・・・かなり印象深い仕事だったのだ。
そして今でも子供らに自慢している。
その他色んなビルを造った・・・
都内のあちこちの道路をほじくり返したよ・・・・
土方やる前はその道路工事現場に付く警備員やっていたけど断然土方の方が面白い・・・
ずっと立っているだけの警備員は暇疲れした・・・
6時半に高田馬場は早いけど仕事が終わるのも午後3時ぐらいで早い・・・・・
ザクザク仕事していると現場のおじさんが俺に投げキッスみたいなゼスチャーをする・・・
最初変なおじさんだなぁ〜モーホー?なんて訝しんでいたが、それは「タバコ休憩すっぺ」ってサインだった・・・・・
そのサインが出る度に仕事中断して車座に集まってタバコ休憩・・・
その現場のおじさんらも出稼ぎなんてで出てきている人が多くて割と呑気な雰囲気だった。
昼休みはでかい弁当食って昼寝して・・・
大きな現場では飯場のプレハブで皆花札やっている・・・・
プレハブの建物はそのまま大カジノ会場になっていた。
とにかくそんな感じで1日が過ぎていく・・・
そして泥だらけになっても平気になって電車なんかで帰った・・・・・
まだちょっとラッシュ前の電車だからそんな格好でも乗れたのだ。
日が昇って働きだし、日が沈む頃帰る・・・・・
労働中はお日様の下で汗かいて・・・・・
家に帰るとザバーッと風呂に入りビールを飲む・・・
何てシンプルでいいんだろうか・・・・
これぞ「労働」だ・・・・
世の中複雑になり過ぎた・・・仕事も生活も複雑になった・・・・・
妙なストレスだけが蓄積されていく・・・・
またあんなシンプルな仕事に戻れないだろうか?
泥だらけだった、肉体的には駆使してきつかった・・・
でも実に魅力的な仕事だったよ俺の場合はね・・・
時々山手線で昔6時半に集まった公園が見える時がある・・・・・
今では仕事も無くなったのか集まっていないと聞いた・・・・
一時当時の彼女がやっていたって事でユーミンの歌に出てくる府中の大きな工場でバイトした。
調布のアパートからバイクで工場へ行き働く・・・・・
昼のサイレンが鳴ると朝のうち頼んでいた日給から差し引かれる当時270円って破格な安さだけど実にしょぼい弁当を食べた。
そんな弁当を食べながら食堂のテレビでオリンピックの橋本聖子の活躍を見ていたっけ・・・・・
そしてセブンスターを一服して昼からの作業に就き夕方の作業終了と共にまたバイクに乗ってアパートに帰った。
アパートに帰ってひとっ風呂浴びてビール飲んで・・・・・・
何てシンプルな生活だろう・・・・・・
彼女が来ている時は一緒に晩飯食った・・・・・・
紛れも無くそこには平穏で幸せな時間があった。
その大きな工場での俺の部署はラインではなくてパレット修理であった。
たくさんのケースをフォークリフトで運ぶ際にその土台になる木製のパレットの修理で工場の野外にベルリンの壁のみたいに山のように積んであるパレットをバールとハンマーで修理するのだ。
この作業が実に好きだった。
工場勤務でありながら俺は太陽の下の労働者であった。
バイトは肉体労働が多かった・・・
基本的に何かを作るのが好きだった。
その府中の工場では大勢の作業員と働いた・・・・・
大抵その日の日払いの給料が出ると土地柄場所柄皆そのまま競馬・競輪・パチンコ・風俗・酒飲みに行ってしまうオッサンらが多かったけど俺は結構真面目にバイクで帰っていた・・・・・
このままその工場に勤めようか・・・・・このままこの多摩地区に根を下ろしてさ・・・・・・
バイトの日給ではなくて給料をちゃんともらうようになったら大きなバイクを買って通おう・・・・・
朝早く仕事に行き帰りはまた工場に停めているバイクに跨り夕焼けの中をアパートまで帰ろう・・・・・
休みの日はそのバイクで走ろう・・・・・
工場一の粋な労働者になるんだ・・・・・・
映画「青春デンデケデケデケ」で主人公らが楽器買う為に夏休みバイトした鋳物工場の先輩工員佐野史郎みたいな感じかな・・・・・兄貴的で工場に通う当時のレトロチックなライダー姿がかっこよかった。
そして彼女と結婚して子供を作ろう・・・・・
昼間工場で働き夕方帰ってきて奥さん子供と晩飯食って、子供と風呂入ってステテコ姿でビール枝豆でナイター見よう・・・・・・
子供が出来たらマイカー買ってさぁ~
目一杯妻と子供を愛し、親父らしい親父になる・・・・・
自己表現は下手だが男として夫として親父として労働者として誇り高い男・・・・・
一昔、一時代前の寡黙でも情が厚い男・・・・・
何てかっこいいんだ・・・・・
そんな生活を夢見ていていた時期もあった・・・・・・
どこでどう曲がったのか今全然違う生活をしている・・・・・・
男が男であった時代・・・それは随分遠くなってしまったようだ。
世界中どこの国に行っても工事しているのに出くわす。
まったくもって男の世界の仕事に従事している男達・・・・
俺は若い頃好んでこういう仕事のバイトをしていた。
今のデスクワーク以外全て仕事は外の仕事だった。
冬の寒い日も、うだるような暑い夏の日も日焼けして埃にまみれながら仕事した。
葛西の水族館も造った。
調布パルコも造った。
その他諸々都内の建築物や道を造った。
だから俺の作品は都内のあちこちにあるのだ。
今の仕事みたいに紙面媒体じゃないパソコンの中でもない、でかい建築物が多分今世紀中は誇らしげに建っている。
男が男である仕事・・・・・それは何だかカッコイイのだ。
学生時代から卒業しての数年、俺のお気に入りのバイトはズバリ「土方」だった。
実に色々なバイトをやった・・・引っ越し屋、工場、警備員、ヤクザ、運送屋、清掃員、瓦屋、鳶職、学習教材セールスマン、医者・・・・・随分たくさんのバイトをやっていたのだ。
何故か知的労働より圧倒的に肉体労働が多かったけど・・・・
その中でも「土方」つまり土木作業員程いいバイトはなかった。
当時はバブルの時代・・・
朝6時半に高田馬場にあるある公園に行くとわんさか全国から集まった土木作業員らが仕事待ちでたむろしていた。
そこにワゴン車で色んな建設現場の手配師がやってきて希望者を数人づつ選んでは現場に運ぶのだ。
前金で1万1千円が相場・・・前金ってのが凄いよな〜持ち逃げするヤツいなかったのかなぁ〜・・・
都内のあちこち行ったなぁ〜
何度も書くが葛西の水族館も造ったし、調布パルコも造った・・・かなり印象深い仕事だったのだ。
そして今でも子供らに自慢している。
その他色んなビルを造った・・・
都内のあちこちの道路をほじくり返したよ・・・・
土方やる前はその道路工事現場に付く警備員やっていたけど断然土方の方が面白い・・・
ずっと立っているだけの警備員は暇疲れした・・・
6時半に高田馬場は早いけど仕事が終わるのも午後3時ぐらいで早い・・・・・
ザクザク仕事していると現場のおじさんが俺に投げキッスみたいなゼスチャーをする・・・
最初変なおじさんだなぁ〜モーホー?なんて訝しんでいたが、それは「タバコ休憩すっぺ」ってサインだった・・・・・
そのサインが出る度に仕事中断して車座に集まってタバコ休憩・・・
その現場のおじさんらも出稼ぎなんてで出てきている人が多くて割と呑気な雰囲気だった。
昼休みはでかい弁当食って昼寝して・・・
大きな現場では飯場のプレハブで皆花札やっている・・・・
プレハブの建物はそのまま大カジノ会場になっていた。
とにかくそんな感じで1日が過ぎていく・・・
そして泥だらけになっても平気になって電車なんかで帰った・・・・・
まだちょっとラッシュ前の電車だからそんな格好でも乗れたのだ。
日が昇って働きだし、日が沈む頃帰る・・・・・
労働中はお日様の下で汗かいて・・・・・
家に帰るとザバーッと風呂に入りビールを飲む・・・
何てシンプルでいいんだろうか・・・・
これぞ「労働」だ・・・・
世の中複雑になり過ぎた・・・仕事も生活も複雑になった・・・・・
妙なストレスだけが蓄積されていく・・・・
またあんなシンプルな仕事に戻れないだろうか?
泥だらけだった、肉体的には駆使してきつかった・・・
でも実に魅力的な仕事だったよ俺の場合はね・・・
時々山手線で昔6時半に集まった公園が見える時がある・・・・・
今では仕事も無くなったのか集まっていないと聞いた・・・・
一時当時の彼女がやっていたって事でユーミンの歌に出てくる府中の大きな工場でバイトした。
調布のアパートからバイクで工場へ行き働く・・・・・
昼のサイレンが鳴ると朝のうち頼んでいた日給から差し引かれる当時270円って破格な安さだけど実にしょぼい弁当を食べた。
そんな弁当を食べながら食堂のテレビでオリンピックの橋本聖子の活躍を見ていたっけ・・・・・
そしてセブンスターを一服して昼からの作業に就き夕方の作業終了と共にまたバイクに乗ってアパートに帰った。
アパートに帰ってひとっ風呂浴びてビール飲んで・・・・・・
何てシンプルな生活だろう・・・・・・
彼女が来ている時は一緒に晩飯食った・・・・・・
紛れも無くそこには平穏で幸せな時間があった。
その大きな工場での俺の部署はラインではなくてパレット修理であった。
たくさんのケースをフォークリフトで運ぶ際にその土台になる木製のパレットの修理で工場の野外にベルリンの壁のみたいに山のように積んであるパレットをバールとハンマーで修理するのだ。
この作業が実に好きだった。
工場勤務でありながら俺は太陽の下の労働者であった。
バイトは肉体労働が多かった・・・
基本的に何かを作るのが好きだった。
その府中の工場では大勢の作業員と働いた・・・・・
大抵その日の日払いの給料が出ると土地柄場所柄皆そのまま競馬・競輪・パチンコ・風俗・酒飲みに行ってしまうオッサンらが多かったけど俺は結構真面目にバイクで帰っていた・・・・・
このままその工場に勤めようか・・・・・このままこの多摩地区に根を下ろしてさ・・・・・・
バイトの日給ではなくて給料をちゃんともらうようになったら大きなバイクを買って通おう・・・・・
朝早く仕事に行き帰りはまた工場に停めているバイクに跨り夕焼けの中をアパートまで帰ろう・・・・・
休みの日はそのバイクで走ろう・・・・・
映画「青春デンデケデケデケ」で主人公らが楽器買う為に夏休みバイトした鋳物工場の先輩工員佐野史郎みたいな感じかな・・・・・兄貴的で工場に通う当時のレトロチックなライダー姿がかっこよかった。
そして彼女と結婚して子供を作ろう・・・・・
昼間工場で働き夕方帰ってきて奥さん子供と晩飯食って、子供と風呂入ってステテコ姿でビール枝豆でナイター見よう・・・・・・
子供が出来たらマイカー買ってさぁ~
目一杯妻と子供を愛し、親父らしい親父になる・・・・・
自己表現は下手だが男として夫として親父として労働者として誇り高い男・・・・・
一昔、一時代前の寡黙でも情が厚い男・・・・・
何てかっこいいんだ・・・・・
そんな生活を夢見ていていた時期もあった・・・・・・
どこでどう曲がったのか今全然違う生活をしている・・・・・・
男が男であった時代・・・それは随分遠くなってしまったようだ。
by glass-jaw-hopper
| 2012-12-03 23:43
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