ユダヤの民
昔からユダヤ人に興味があった。
まず最初にもの凄くダスティン・ホフマンに傾倒し憧れた事から始まる。
人生が変わる程彼は俺に影響を与えた。
高校時代から大ファンになって深大寺でお守り買ってニューヨークの彼の事務所に送ったぐらいである。
ハリウッドスターの実力演技派の三羽烏・・・・・別名小男三羽烏小さな巨人・・・
ダスティン・ホフマン、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ・・・・・・アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロのイタリア系の彼らが治安の悪い貧民街に育ったのに比べホフマンはユダヤ系の裕福な家で育った。
幼い頃からピアノを習い、ゆくゆくはピアニストになるつもりだったらしい・・・・・
ホフマンがピアニスト?
何かとても似合うような気がする。
そして俺の好きな人がユダヤ系が多い事に気付いた。
コーエン兄弟、スピルバーグ、デーブ・スペクター・・・・・
そして1980年後半に俺は海外で仕事をしていた。
最初世話になった日本人レストランのオーナーの家から免税店で働く事になったタイミングで自分の家を探し出した。
日本人協会の世話人で旦那が日本人と言う親日派のリンダさんから紹介してもらった家は豪邸の離れに建てられた家だった。
その家はユダヤ系の家でそこのお婆さんの離れの家を貸してくれるって事だった。
訪ねてみたら広い芝生の庭には噴水なんかあって立派な家であった。
プールもあって、そこの若奥さんが子供と戯れていた。
大家さんがそのお婆さんで何でも子供らが自分のために建ててくれた離れの小さい家を人に貸して、その家賃で自分はちょっと安い家に住むそうだ・・・・・・
その経済感覚はちょっと新鮮で正直たじろいだ。
だって子供らが自分のために建ててくれた家を人に貸して家賃収入を得るなんて・・・日本じゃ子供らに怒られそうだよ~
そのお婆さんだけかと思いきや、その界隈ではそんなシステム採用している豪邸が結構あったのだ。
リンダさんに聞けばそんな物件のオーナーはほぼ全てユダヤ系の人らだそうだ。
映画「戦場のピアニスト」で興味深いエピソードがあった。
ポーランドのユダヤ人一家がナチスの侵攻によって強制収容所に送られる時、一家の長のお父さんが皆で最後甘い物を食べようじゃないかと集められたユダヤ人らの中で箱をぶら下げ売り子をしている同じく収容所行きの少年からキャラメル一粒を何シリングで買うのだ。
何でそんなに高いんだ?今更儲けてどうする?と小さなナイフで一粒のキャラメルを切り分けながら言うお父さんをよそに少年は値下げもせずに憎まれ口を叩きながら商売の続きをする。
凄い商魂である。
俺の仕事は団体客をホテルに迎えに行く送迎もあったのだが、そのでかいホテルのオーナーは全てユダヤ系列である・・・・・
第一次湾岸戦争が始まるとそのユダヤ系ホテルは全てテロのターゲットになり急に警備セキュリティーが強化されてしまった・・・・・
その免税店のオーナーもユダヤ系だった・・・・・
何か凄いユダヤ人の力を見せ付けられた海外生活であった。
住む場所から職場までユダヤ系列なのだ。
結局家賃が合わず、俺はイタリア系のおばちゃんの家の離れの家に住む事になったのだが、最初の契約がしっかりして入居の時間まで決められたユダヤ系の家とはまったく違いドンブリ勘定で大らかで適当なイタリア系の家に居付く事になった。
実はその離れの家も前借りて住んでいた中国人が引いた電話代200ドル踏み倒して出て行ってしまったらしく、俺は東洋人の名誉回復を掛けて大家のイタリア人のおばさんに親切に接した。
そのお陰でカンツォーネの会なんかに招待されるまでになったのだ。
その借りなかったユダヤ系の家のオーナーのお婆さんの孫の男の子は強盗にホールドアップされて殺されている・・・・
ホテルとテロ、豪邸と強盗・・・・・・富と悲劇が同居しているのだ・・・・・
ナチスのユダヤ人排斥と虐殺粛清・・・・・・
ヒトラーとナチスの大きな間違いはこのユダヤ人らの優れた経済力とそのずば抜けた商才を利用しなかった事だ。
排斥虐殺するのではなくて共に手を組んで、その知恵を借りていたとしたらもしかして今頃は広大なドイツ帝国が築かれていたかも知れない・・・・・
彼らは金の卵を産む鶏を目先の没収財産に目が眩んで潰してしまった。
ユダヤ人らを排斥したために滅んだドイツ第三帝国・・・・・・
ユダヤ人らを受け入れて繁栄したアメリカ商業帝国・・・・・・
彼らはとても優秀だ。
医者・弁護士・教師・金融・経営者・・・・・そして俳優、音楽家、作家、映画監督、アーティスト・・・・・
尊敬に値する人達である。
そんな俺だけど、一人だけユダヤ人を敵に回してしまった過去がある・・・・・
彼の名前はマオカム・・・・・・
マオカムに出会ったのは海外で免税店の営業マンをしていた頃だ。
ブッシュの親父がアラブで最初の戦争を仕掛けた時代だ・・・・・
お客を迎えにホテルに行くと大手財閥ユダヤ系ホテルはテロ厳戒体勢であった・・・・・
空港も厳重な警戒態勢で、そんな中を俺はせっせと客を迎えに送りに忙しいようなそうでも無いような日々を送っていた・・・・・・・
俺がもうすぐその店を辞めて次の街へ行こうって時にマオカムは入社してきた。
ヒョロッとした白人男性で赤毛の天パー細い顔、どことなく何故かニンジンを連想させる容貌を持つ男・・・・・
日本じゃ「マルコム」って言うんだろうけど、あちらじゃ「マオカム」だ。
マオカムは大学院生でもあるインテリである。
あちらじゃ大学院とか通いながら仕事している人も多く雇用の仕方、契約の仕方は多種多様・・・・・
別に大学院生が社員なんてのも当たり前みたいだったのだ。
このマオカムがやたら俺に興味を持った・・・・・
日本が好きらしい・・・・・
タバコなんか吸わないくせに誰か日本人スタッフにもらったマイルドセブンなんかを大事に持っている・・・・・・
好きな映画は黒澤明「用心棒」・・・・・
ペットのネコの名前はどこで聞いたのか黒いから「スミ」・・・・・・・よほど日本好きなんだろう・・・・・・
日本語もかなり話せる・・・・・
免税店にとって一番のお客は日本人団体ツアー旅行客・・・必須ではあるが・・・・・
当時は日本企業がガンガン海外進出していた頃・・・日本語を学びたいって現地人がよく近付いてきたりしていたのだ。
よくわからないがマオカムの専門は「哲学」とか・・・・・確か・・・・・
まず聞かれたのは「宗派」だった・・・・・・
そう外国ではよく聞かれる・・・・・ここで無信仰とか言うと危険人物とか思われてしまう時がある。
そうでなくても人間扱いされない場合も多々ある。
無宗教、無信仰はジョン・レノンぐらいでないと世間は認めてくれないのだ。
しかし俺もその頃は海外の生活も慣れた頃であった・・・・・
焦らず「仏教徒」と答える・・・・・・
間違ってはいない・・・・・盆正月を祝うわけだから仏教だ・・・・・ばあちゃんちには仏壇だってある・・・・・・・
ここで油断した・・・・・・更にどの宗派か?と聞いてきた・・・・・・
え?・・・・・・・仏教は仏教だけじゃダメなの?・・・・・・
そうマオカムは真面目なのだ・・・・・普通ここまで聞かれるケースは少ない・・・・・
真剣な目で聞いてくるマオカムに俺はややたじろいだ・・・・・・
えぇ〜とぉ〜・・・・・よくわからんぞぉ〜・・・・・う〜んと・・・・・・
なんせ、日常会話でいきなり女の子が「何で天皇に戦争責任は無いの?」とか聞いてきて面食らう国・・・・・
日本じゃ当時女の子はバカな振りしていればモテるけど、この国はバカな子でもインテリ振る国なのだ・・・・・・
そうそう仏教の宗派だ・・・宗派・・・・・・・
えぇ〜とぉ・・・・・何だっけ・・・・・浄土真宗だっけ・・・法華経だっけ・・・・・
下手にどっちか言ったら突っ込まれるぞぉ〜
答えられないと軽蔑されるぞ・・・・・・
何か寺の名前を言おう・・・・・・うん・・・・・それがいい・・・・きっといい・・・・・・
い、伊勢神宮?・・・・・明治神宮・・・・・あ、あれは神社だ・・・・・・
寺の名前・・・・・・えぇ〜とぉ・・・・・・
更にわからんぞぉ〜
本能寺?・・・・・・
あれ?明智小五郎が織田信長と一緒に燃やしちゃったっけ?
ほ・・・・・本願寺?・・・・・・あったよな・・・確か・・・・・・
消失したっけ・・・・・・
「ゆく年くる年」で出てたよなぁ〜・・・・・
どうだっけ?
どっちだ?
まだあったっけ?
歴史上の寺だっけ?
かと言って咄嗟に寺の名前なんて出て来ない・・・・・
目をキラキラさせて俺の答を待つマオカム・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「た・・・・・他力本願寺・・・・・・派だよ・・・・・・・・」
「タリキホンガンジ?」
「そ、そうそう他力本願寺派なんだ・・・・・」
「シリマセン」
「そ、そりゃそうだよ〜特別な宗派なんだぁ〜他力本願寺派は・・・・・」
「タリキホンガンジ・・・・・オォ〜・・・・・」
ここらで俺は、あっ!そうだと電話を取り上げ仕事の振りして何となくマオカムから忙しい素振りで逃げた・・・・・・
電話の相手はいきなりもう終わった仕事の用件を確認したいと振られて慌てていた・・・・・
そうマオカムは真面目なのだ・・・・・
数日後シフトで一緒になった時、あの後色々調べたがタリキホンガンジはわからなかったと言ってきた・・・・・・
まだぁ聞くかぁ〜!すぐ忘れるか白黒はっきりさせないで適当にぼやかす知恵のある日本人とは違う国民性・・・・・
未だにナチハンターも居ると聞くし・・・・・・・
今さらあれは出鱈目だとは言えなかった・・・・・
そうマオカムは真面目なのだ・・・・・それは怒らせたら怖いって事も意味している・・・・・・
完全に「あれは冗談だ、イッツ・ア・ジョーク」って言うタイミングは逃してしまっていた。
「そ、そりゃそうだ・・・・・あまり日本人でも知らないもん・・・・・密教だよ密教・・・・・」
「ミッキョー?」
「つまりシークレットなんだよ、秘密の宗派」
よくわからないが忍者の指を二本立てて手を組む振りと立て続けにシュシュシュって手裏剣を投げる振りをしながら説明する俺・・・・・何となく説得力があるような気がしたのだ。
「オォ〜ヒミツ!・・・・・シッテマス・・・シッテマス〜!」
同じ様に忍者の指を二本立てて手を組む振りと立て続けにシュシュシュって手裏剣を投げる振りをしながら納得するマオカム・・・・・
フゥ〜・・・・・・なんか納得したみたいだ・・・・すり替え成功・・・・・・まやかしの術だ・・・・・
とにかくこの話題は避けよう・・・・・・
これ以上は聞かないで欲しい触れないで欲しい・・・・・なんたってミッキョーなのだ・・・・・・
あまり人に話せないのだ・・・・・ってニュアンスを残したつもりだったが・・・・・
その辺は国民性の違いを計算していなかった俺・・・・・まやかしの術はすぐに解けた・・・・・
数日後・・・・・・・
俺は窮地に立たされていた・・・・・・
マオカムの大学に俺は居た・・・・・・
マオカムに誘われてオフの日に大学の見物に来たのだ。
海外のキャンパスライフを見たいってのと学食カフェテリアに行ってみたかった。
そこで俺は彼の学友に紹介された。
男女混合のそのグループは服装こそラフだけど皆真面目そうな学生さん・・・・・・
教室の端っこに数人丸く椅子を寄せた一角に俺は居た。
「タリキホンガンジ」の紹介だった。
皆真剣に俺を見ている・・・・・・
英語が苦手って事で適当に話せばいいやと思ったけど皆ある程度日本語が話せるのだ。
しまった・・・・・・こんな事なら大人しく家のモノクロテレビで当時放送されていたツインピークスでも見ていれば良かった・・・・・・
わけのわからない英語とわけのわからないストーリーだがこんな所で脂汗流しながら居るよりマシだった。
まだ当時はツインピークスはそんなに流行ってなかった・・・・・・
日本じゃ売っていないケンタッキーのバケツ大のコールスローでも食べながら、それはそれでハッピーなオフの日を楽しめたのに・・・・・・・
でもアフターフェスティボ〜後の祭り・・・・・・
俺は・・・・・・ありもしない宗派について話し出した・・・・・
憶えている話は・・・・・他力本願寺の教えとは・・・・・
人間は愚鈍であれば良いと言うありがたい教えであり・・・・・・
つまりは老子の考えを元に〜・・・・・・
老子とは・・・・・え?皆知っている・・・・・・そりゃそうだよね〜・・・・・東洋の偉大な思想家、儒教者だもんね〜・・・・・
とにかく他力本願であり・・・・・つまり人は牛であるわけです・・・・・・
牛は・・・・・えぇ〜人間が草を与え・・・・・水場まで連れて行ってくれるわけでして・・・・えぇ〜・・・・・
メモとっているんですか?・・・・・そうですか・・・・・・
そうそう・・・・優れた他人に任せる事でぇ〜自分はそれに甘え任せて、良質のミルクを出す事に専念すればいいわけでぇ〜
え?他力本願寺はどこにある?ですか?・・・・・・
えぇ〜他力本願寺はですねぇ〜・・・・・・これはですねぇ〜信じる者の心の中にあるわけなんですよ〜・・・・・・
その辺がまことに東洋的でありましてぇ〜・・・・・「釈迦に踊念仏」ってことわざもあるぐらいなんですよ・・・・・・同じ意味の言葉に「豚の耳に念仏」「子はかすがい」ってのもあります・・・・・・
メモとっているんですか?・・・・・そうですか・・・・・・
ボクもですねぇ〜目をつぶればいつでもその寺にお参りする事が出来るわけでしてぇ〜ええ・・・・・
仕事中よく寝ているなんて言われますけど実はあれはお参りしているわけなんですよhahaha・・・・・・(無反応)
メモとっているんですか?・・・・・そうですか・・・・・・
とにかく他力本願であり・・・・・つまり人はヤギであるわけです・・・・・・
ヤギは・・・・・
え?さっき牛って言いましたっっけ?
日本では牛もヤギも同じなんでしてぇ〜
角があるでしょ?どっちも・・・・・・この辺は実に東洋的と言いますか・・・・・・
えぇ〜人間が草を与え・・・・・水場まで連れて行ってくれるわけでして・・・・えぇ〜・・・・・
そうそう・・・・優れた他人に任せる事でぇ〜自分はそれに甘え任せて、良質のミルクを出す事に専念すればいいわけでぇ〜
ね?牛もヤギも同じでしょ?
日本じゃ「角を突き合わす」って表現がありまして・・・・・これは「漁夫の利」とも言います・・・・・・
え?「漁夫の利」ですか?
それはですねぇ〜漁夫は天候によって漁が出来ない日もあり出来る日もあるわけです〜
つまりお天道様には逆らえないわけですよ・・・・・・任せるわけですねぇ〜・・・・・・
つまりここに他力本願寺の真髄がありましてぇ〜天気はどうしようもないわけですね・・・・・・
自分でどうにかしようにも出来ない物もあるぞ・・・と・・・・・・
そこでジタバタしてもしょうがないわけなんですね・・・・・・ならば身を任せましょうよ〜ってのが教えなんですよ・・・・・・
メモとっているんですか?・・・・・そうですか・・・・・・
ここらはやはり日本人しかわからない考え方でありましてぇ〜
自然と共存し身を任せましょうよって考え方は太極拳の考え方でもありまして〜
あの優雅で鷹揚な動きは正にそれでして・・・・・・
はいはい・・・・・そうですね・・・中国でしたね・・・・・
ここらはやはり東洋人しかわからない考え方でありましてぇ〜
ブルース・リーも言ってました「考えるな!感じるんだ!」と・・・・・・
西洋人の貴方方のあまりに具体的な方法論とは違うわけなんですよぉ〜
日本には昔から漢方って薬がありまして〜西洋医学の薬みたいな即効性はあまり無くて違いましてぇ〜効いているか効いていないのかわからないんですが、これが後からジワァ〜と効いてくるわけですよ・・・・・・・
つまりテンプルでは無くてボディへのパンチみたいな物なんですね〜見た目地味なんですけど後から効いて来るわけですねぇ〜
日本の有名なボクサー、矢吹ジョーはこれが得意でした・・・・・
え?知ってますか・・・・・さすが日本のアニメは凄いですねぇ〜
はい?・・・ああテンプル違いですね・・・はいはい・・・・・
ここらはやはり日本人しかわからない考え方でありましてぇ〜
ええ・・・実在したんですよ・・・・・・タコ八郎ってボクサーが居ましてねぇ〜
彼が矢吹ジョーのモデルなんですよ〜
メモとっているんですか?・・・・・そうですか・・・・・・
つまり他力本願寺は脈々と続く日本人の奥底に流れている血を終結した教えなわけなんです・・・・・・・
この調子で後はのらりくらりと話しながら俺の説明は終わった・・・・・・
その後マオカムと一緒になる仕事のシフトは変えてもらってその街を出るまで逃げ切った俺だった・・・・・・・
今でも彼は俺を追っているのだろうか?
まず最初にもの凄くダスティン・ホフマンに傾倒し憧れた事から始まる。
人生が変わる程彼は俺に影響を与えた。
高校時代から大ファンになって深大寺でお守り買ってニューヨークの彼の事務所に送ったぐらいである。
ハリウッドスターの実力演技派の三羽烏・・・・・別名小男三羽烏小さな巨人・・・
ダスティン・ホフマン、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ・・・・・・アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロのイタリア系の彼らが治安の悪い貧民街に育ったのに比べホフマンはユダヤ系の裕福な家で育った。
幼い頃からピアノを習い、ゆくゆくはピアニストになるつもりだったらしい・・・・・
ホフマンがピアニスト?
何かとても似合うような気がする。
そして俺の好きな人がユダヤ系が多い事に気付いた。
コーエン兄弟、スピルバーグ、デーブ・スペクター・・・・・
そして1980年後半に俺は海外で仕事をしていた。
最初世話になった日本人レストランのオーナーの家から免税店で働く事になったタイミングで自分の家を探し出した。
日本人協会の世話人で旦那が日本人と言う親日派のリンダさんから紹介してもらった家は豪邸の離れに建てられた家だった。
その家はユダヤ系の家でそこのお婆さんの離れの家を貸してくれるって事だった。
訪ねてみたら広い芝生の庭には噴水なんかあって立派な家であった。
プールもあって、そこの若奥さんが子供と戯れていた。
大家さんがそのお婆さんで何でも子供らが自分のために建ててくれた離れの小さい家を人に貸して、その家賃で自分はちょっと安い家に住むそうだ・・・・・・
その経済感覚はちょっと新鮮で正直たじろいだ。
だって子供らが自分のために建ててくれた家を人に貸して家賃収入を得るなんて・・・日本じゃ子供らに怒られそうだよ~
そのお婆さんだけかと思いきや、その界隈ではそんなシステム採用している豪邸が結構あったのだ。
リンダさんに聞けばそんな物件のオーナーはほぼ全てユダヤ系の人らだそうだ。
映画「戦場のピアニスト」で興味深いエピソードがあった。
ポーランドのユダヤ人一家がナチスの侵攻によって強制収容所に送られる時、一家の長のお父さんが皆で最後甘い物を食べようじゃないかと集められたユダヤ人らの中で箱をぶら下げ売り子をしている同じく収容所行きの少年からキャラメル一粒を何シリングで買うのだ。
何でそんなに高いんだ?今更儲けてどうする?と小さなナイフで一粒のキャラメルを切り分けながら言うお父さんをよそに少年は値下げもせずに憎まれ口を叩きながら商売の続きをする。
凄い商魂である。
俺の仕事は団体客をホテルに迎えに行く送迎もあったのだが、そのでかいホテルのオーナーは全てユダヤ系列である・・・・・
第一次湾岸戦争が始まるとそのユダヤ系ホテルは全てテロのターゲットになり急に警備セキュリティーが強化されてしまった・・・・・
その免税店のオーナーもユダヤ系だった・・・・・
何か凄いユダヤ人の力を見せ付けられた海外生活であった。
住む場所から職場までユダヤ系列なのだ。
結局家賃が合わず、俺はイタリア系のおばちゃんの家の離れの家に住む事になったのだが、最初の契約がしっかりして入居の時間まで決められたユダヤ系の家とはまったく違いドンブリ勘定で大らかで適当なイタリア系の家に居付く事になった。
実はその離れの家も前借りて住んでいた中国人が引いた電話代200ドル踏み倒して出て行ってしまったらしく、俺は東洋人の名誉回復を掛けて大家のイタリア人のおばさんに親切に接した。
そのお陰でカンツォーネの会なんかに招待されるまでになったのだ。
その借りなかったユダヤ系の家のオーナーのお婆さんの孫の男の子は強盗にホールドアップされて殺されている・・・・
ホテルとテロ、豪邸と強盗・・・・・・富と悲劇が同居しているのだ・・・・・
ナチスのユダヤ人排斥と虐殺粛清・・・・・・
ヒトラーとナチスの大きな間違いはこのユダヤ人らの優れた経済力とそのずば抜けた商才を利用しなかった事だ。
排斥虐殺するのではなくて共に手を組んで、その知恵を借りていたとしたらもしかして今頃は広大なドイツ帝国が築かれていたかも知れない・・・・・
彼らは金の卵を産む鶏を目先の没収財産に目が眩んで潰してしまった。
ユダヤ人らを排斥したために滅んだドイツ第三帝国・・・・・・
ユダヤ人らを受け入れて繁栄したアメリカ商業帝国・・・・・・
彼らはとても優秀だ。
医者・弁護士・教師・金融・経営者・・・・・そして俳優、音楽家、作家、映画監督、アーティスト・・・・・
尊敬に値する人達である。
そんな俺だけど、一人だけユダヤ人を敵に回してしまった過去がある・・・・・
彼の名前はマオカム・・・・・・
マオカムに出会ったのは海外で免税店の営業マンをしていた頃だ。
ブッシュの親父がアラブで最初の戦争を仕掛けた時代だ・・・・・
お客を迎えにホテルに行くと大手財閥ユダヤ系ホテルはテロ厳戒体勢であった・・・・・
空港も厳重な警戒態勢で、そんな中を俺はせっせと客を迎えに送りに忙しいようなそうでも無いような日々を送っていた・・・・・・・
俺がもうすぐその店を辞めて次の街へ行こうって時にマオカムは入社してきた。
ヒョロッとした白人男性で赤毛の天パー細い顔、どことなく何故かニンジンを連想させる容貌を持つ男・・・・・
日本じゃ「マルコム」って言うんだろうけど、あちらじゃ「マオカム」だ。
マオカムは大学院生でもあるインテリである。
あちらじゃ大学院とか通いながら仕事している人も多く雇用の仕方、契約の仕方は多種多様・・・・・
別に大学院生が社員なんてのも当たり前みたいだったのだ。
このマオカムがやたら俺に興味を持った・・・・・
日本が好きらしい・・・・・
タバコなんか吸わないくせに誰か日本人スタッフにもらったマイルドセブンなんかを大事に持っている・・・・・・
好きな映画は黒澤明「用心棒」・・・・・
ペットのネコの名前はどこで聞いたのか黒いから「スミ」・・・・・・・よほど日本好きなんだろう・・・・・・
日本語もかなり話せる・・・・・
免税店にとって一番のお客は日本人団体ツアー旅行客・・・必須ではあるが・・・・・
当時は日本企業がガンガン海外進出していた頃・・・日本語を学びたいって現地人がよく近付いてきたりしていたのだ。
よくわからないがマオカムの専門は「哲学」とか・・・・・確か・・・・・
まず聞かれたのは「宗派」だった・・・・・・
そう外国ではよく聞かれる・・・・・ここで無信仰とか言うと危険人物とか思われてしまう時がある。
そうでなくても人間扱いされない場合も多々ある。
無宗教、無信仰はジョン・レノンぐらいでないと世間は認めてくれないのだ。
しかし俺もその頃は海外の生活も慣れた頃であった・・・・・
焦らず「仏教徒」と答える・・・・・・
間違ってはいない・・・・・盆正月を祝うわけだから仏教だ・・・・・ばあちゃんちには仏壇だってある・・・・・・・
ここで油断した・・・・・・更にどの宗派か?と聞いてきた・・・・・・
え?・・・・・・・仏教は仏教だけじゃダメなの?・・・・・・
そうマオカムは真面目なのだ・・・・・普通ここまで聞かれるケースは少ない・・・・・
真剣な目で聞いてくるマオカムに俺はややたじろいだ・・・・・・
えぇ〜とぉ〜・・・・・よくわからんぞぉ〜・・・・・う〜んと・・・・・・
なんせ、日常会話でいきなり女の子が「何で天皇に戦争責任は無いの?」とか聞いてきて面食らう国・・・・・
日本じゃ当時女の子はバカな振りしていればモテるけど、この国はバカな子でもインテリ振る国なのだ・・・・・・
そうそう仏教の宗派だ・・・宗派・・・・・・・
えぇ〜とぉ・・・・・何だっけ・・・・・浄土真宗だっけ・・・法華経だっけ・・・・・
下手にどっちか言ったら突っ込まれるぞぉ〜
答えられないと軽蔑されるぞ・・・・・・
何か寺の名前を言おう・・・・・・うん・・・・・それがいい・・・・きっといい・・・・・・
い、伊勢神宮?・・・・・明治神宮・・・・・あ、あれは神社だ・・・・・・
寺の名前・・・・・・えぇ〜とぉ・・・・・・
更にわからんぞぉ〜
本能寺?・・・・・・
あれ?明智小五郎が織田信長と一緒に燃やしちゃったっけ?
ほ・・・・・本願寺?・・・・・・あったよな・・・確か・・・・・・
消失したっけ・・・・・・
「ゆく年くる年」で出てたよなぁ〜・・・・・
どうだっけ?
どっちだ?
まだあったっけ?
歴史上の寺だっけ?
かと言って咄嗟に寺の名前なんて出て来ない・・・・・
目をキラキラさせて俺の答を待つマオカム・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「た・・・・・他力本願寺・・・・・・派だよ・・・・・・・・」
「タリキホンガンジ?」
「そ、そうそう他力本願寺派なんだ・・・・・」
「シリマセン」
「そ、そりゃそうだよ〜特別な宗派なんだぁ〜他力本願寺派は・・・・・」
「タリキホンガンジ・・・・・オォ〜・・・・・」
ここらで俺は、あっ!そうだと電話を取り上げ仕事の振りして何となくマオカムから忙しい素振りで逃げた・・・・・・
電話の相手はいきなりもう終わった仕事の用件を確認したいと振られて慌てていた・・・・・
そうマオカムは真面目なのだ・・・・・
数日後シフトで一緒になった時、あの後色々調べたがタリキホンガンジはわからなかったと言ってきた・・・・・・
まだぁ聞くかぁ〜!すぐ忘れるか白黒はっきりさせないで適当にぼやかす知恵のある日本人とは違う国民性・・・・・
未だにナチハンターも居ると聞くし・・・・・・・
今さらあれは出鱈目だとは言えなかった・・・・・
そうマオカムは真面目なのだ・・・・・それは怒らせたら怖いって事も意味している・・・・・・
完全に「あれは冗談だ、イッツ・ア・ジョーク」って言うタイミングは逃してしまっていた。
「そ、そりゃそうだ・・・・・あまり日本人でも知らないもん・・・・・密教だよ密教・・・・・」
「ミッキョー?」
「つまりシークレットなんだよ、秘密の宗派」
よくわからないが忍者の指を二本立てて手を組む振りと立て続けにシュシュシュって手裏剣を投げる振りをしながら説明する俺・・・・・何となく説得力があるような気がしたのだ。
「オォ〜ヒミツ!・・・・・シッテマス・・・シッテマス〜!」
同じ様に忍者の指を二本立てて手を組む振りと立て続けにシュシュシュって手裏剣を投げる振りをしながら納得するマオカム・・・・・
フゥ〜・・・・・・なんか納得したみたいだ・・・・すり替え成功・・・・・・まやかしの術だ・・・・・
とにかくこの話題は避けよう・・・・・・
これ以上は聞かないで欲しい触れないで欲しい・・・・・なんたってミッキョーなのだ・・・・・・
あまり人に話せないのだ・・・・・ってニュアンスを残したつもりだったが・・・・・
その辺は国民性の違いを計算していなかった俺・・・・・まやかしの術はすぐに解けた・・・・・
数日後・・・・・・・
俺は窮地に立たされていた・・・・・・
マオカムの大学に俺は居た・・・・・・
マオカムに誘われてオフの日に大学の見物に来たのだ。
海外のキャンパスライフを見たいってのと学食カフェテリアに行ってみたかった。
そこで俺は彼の学友に紹介された。
男女混合のそのグループは服装こそラフだけど皆真面目そうな学生さん・・・・・・
教室の端っこに数人丸く椅子を寄せた一角に俺は居た。
「タリキホンガンジ」の紹介だった。
皆真剣に俺を見ている・・・・・・
英語が苦手って事で適当に話せばいいやと思ったけど皆ある程度日本語が話せるのだ。
しまった・・・・・・こんな事なら大人しく家のモノクロテレビで当時放送されていたツインピークスでも見ていれば良かった・・・・・・
わけのわからない英語とわけのわからないストーリーだがこんな所で脂汗流しながら居るよりマシだった。
まだ当時はツインピークスはそんなに流行ってなかった・・・・・・
日本じゃ売っていないケンタッキーのバケツ大のコールスローでも食べながら、それはそれでハッピーなオフの日を楽しめたのに・・・・・・・
でもアフターフェスティボ〜後の祭り・・・・・・
俺は・・・・・・ありもしない宗派について話し出した・・・・・
憶えている話は・・・・・他力本願寺の教えとは・・・・・
人間は愚鈍であれば良いと言うありがたい教えであり・・・・・・
つまりは老子の考えを元に〜・・・・・・
老子とは・・・・・え?皆知っている・・・・・・そりゃそうだよね〜・・・・・東洋の偉大な思想家、儒教者だもんね〜・・・・・
とにかく他力本願であり・・・・・つまり人は牛であるわけです・・・・・・
牛は・・・・・えぇ〜人間が草を与え・・・・・水場まで連れて行ってくれるわけでして・・・・えぇ〜・・・・・
メモとっているんですか?・・・・・そうですか・・・・・・
そうそう・・・・優れた他人に任せる事でぇ〜自分はそれに甘え任せて、良質のミルクを出す事に専念すればいいわけでぇ〜
え?他力本願寺はどこにある?ですか?・・・・・・
えぇ〜他力本願寺はですねぇ〜・・・・・・これはですねぇ〜信じる者の心の中にあるわけなんですよ〜・・・・・・
その辺がまことに東洋的でありましてぇ〜・・・・・「釈迦に踊念仏」ってことわざもあるぐらいなんですよ・・・・・・同じ意味の言葉に「豚の耳に念仏」「子はかすがい」ってのもあります・・・・・・
メモとっているんですか?・・・・・そうですか・・・・・・
ボクもですねぇ〜目をつぶればいつでもその寺にお参りする事が出来るわけでしてぇ〜ええ・・・・・
仕事中よく寝ているなんて言われますけど実はあれはお参りしているわけなんですよhahaha・・・・・・(無反応)
メモとっているんですか?・・・・・そうですか・・・・・・
とにかく他力本願であり・・・・・つまり人はヤギであるわけです・・・・・・
ヤギは・・・・・
え?さっき牛って言いましたっっけ?
日本では牛もヤギも同じなんでしてぇ〜
角があるでしょ?どっちも・・・・・・この辺は実に東洋的と言いますか・・・・・・
えぇ〜人間が草を与え・・・・・水場まで連れて行ってくれるわけでして・・・・えぇ〜・・・・・
そうそう・・・・優れた他人に任せる事でぇ〜自分はそれに甘え任せて、良質のミルクを出す事に専念すればいいわけでぇ〜
ね?牛もヤギも同じでしょ?
日本じゃ「角を突き合わす」って表現がありまして・・・・・これは「漁夫の利」とも言います・・・・・・
え?「漁夫の利」ですか?
それはですねぇ〜漁夫は天候によって漁が出来ない日もあり出来る日もあるわけです〜
つまりお天道様には逆らえないわけですよ・・・・・・任せるわけですねぇ〜・・・・・・
つまりここに他力本願寺の真髄がありましてぇ〜天気はどうしようもないわけですね・・・・・・
自分でどうにかしようにも出来ない物もあるぞ・・・と・・・・・・
そこでジタバタしてもしょうがないわけなんですね・・・・・・ならば身を任せましょうよ〜ってのが教えなんですよ・・・・・・
メモとっているんですか?・・・・・そうですか・・・・・・
ここらはやはり日本人しかわからない考え方でありましてぇ〜
自然と共存し身を任せましょうよって考え方は太極拳の考え方でもありまして〜
あの優雅で鷹揚な動きは正にそれでして・・・・・・
はいはい・・・・・そうですね・・・中国でしたね・・・・・
ここらはやはり東洋人しかわからない考え方でありましてぇ〜
ブルース・リーも言ってました「考えるな!感じるんだ!」と・・・・・・
西洋人の貴方方のあまりに具体的な方法論とは違うわけなんですよぉ〜
日本には昔から漢方って薬がありまして〜西洋医学の薬みたいな即効性はあまり無くて違いましてぇ〜効いているか効いていないのかわからないんですが、これが後からジワァ〜と効いてくるわけですよ・・・・・・・
つまりテンプルでは無くてボディへのパンチみたいな物なんですね〜見た目地味なんですけど後から効いて来るわけですねぇ〜
日本の有名なボクサー、矢吹ジョーはこれが得意でした・・・・・
え?知ってますか・・・・・さすが日本のアニメは凄いですねぇ〜
はい?・・・ああテンプル違いですね・・・はいはい・・・・・
ここらはやはり日本人しかわからない考え方でありましてぇ〜
ええ・・・実在したんですよ・・・・・・タコ八郎ってボクサーが居ましてねぇ〜
彼が矢吹ジョーのモデルなんですよ〜
メモとっているんですか?・・・・・そうですか・・・・・・
つまり他力本願寺は脈々と続く日本人の奥底に流れている血を終結した教えなわけなんです・・・・・・・
この調子で後はのらりくらりと話しながら俺の説明は終わった・・・・・・
その後マオカムと一緒になる仕事のシフトは変えてもらってその街を出るまで逃げ切った俺だった・・・・・・・
今でも彼は俺を追っているのだろうか?
by Glass-Jaw-Hopper
| 2012-03-11 21:49
| その時歴史は動いたような気が
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