大空へ駆ける思い
小学生高学年、中学生間近の頃だった・・・・・
俺の一家は中心地の団地から郊外の一軒家に引っ越した・・・・・・
そこはまだ開拓地の造成地だった・・・・・・・
ブルドーザーが山を削って掘り返す赤土の荒野と山と雑木林そして青く広い空・・・・・・・
セイタカアワダチソウが生い茂る果てしない原野・・・・・・・・・・・
初めて見る「マムシ注意」の看板・・・・・・・・・・・
子供心に凄いなぁ~と思った・・・・・・・
自然遊びもワイルドになる・・・・・・・・
俺は毎日新しく出来た友達と泥だらけになって遊んだ・・・・・・
青白きシティーボーイの俺もここではすっかり野生児だった・・・・・・・
中心地では前髪を掻き分けながら中原中也なんかを読んでいた俺だが、ここでは丸刈りで西部劇ごっこなんかをやっていた・・・・・・・・・・
ある日から俺はある事に熱中した・・・・・・
美人女優やアイドルと付き合っても三日で飽きる飽きっぽい俺だが一回熱中すると完全に納得するまで熱中する・・・・・・・
飛行機をこの広い空に飛ばそう・・・・・・・・・・
もちろん本物ではない・・・・・・・
この広く青い空に模型飛行機を飛ばしてみたくなったのだ・・・・・・・・・
その頃の俺の目はまだ澄んでいたのだ・・・・・・・・・・
最初はゴム動力の飛行機だった・・・・・・・
しかしすぐに堕ちてしまう・・・・・・・
もっと・・・・・もっと・・・・・・高く・・・・・・・
もっと・・・・・もっと・・・・・・・遠くへ・・・・・・・・・
動力をゴムではなくてモーターにしたらどうだろうか????
俺はさっそくモーターを取り付けてみた・・・・・・・
子供の定番、子供の友達マブチモーターだ・・・・・・・・・
単3電池をセットすると重くてバランスが狂った・・・・・・・・
専用アダプタも買って取り付けたりもしたがやはりバランスが狂う・・・・・
それにこの機体ではモーターと電池は重過ぎる・・・・・・・
そこでやや小さい当時高価なもっと小さい電池を購入し二つ付けた・・・・・・・
モーターの位置も前方から機体の中心へ・・・・・・・・
しっかりどの位置が良いか実験する・・・・・・・・
浮力が足りない・・・・・・・・
翼の面積が足りない・・・・・・・・
ボディが軟過ぎる・・・・・・・・
問題は山積みだった・・・・・・・・・
俺は小遣いをはたいてやや大振りなグライダー機を買った・・・・・・・
真新しいスチレンボディに穴を開けるのは勇気がいった・・・・・・・
しかし俺に妥協は無かった・・・・・・・・・
このまま買ったままで飛ばせばそりゃよく飛ぶだろう・・・・・・・
しかし俺がやりたいのはグライダーではない・・・・・・・
あくまで動力を持ち、どこまでもどこまでもこの大空を飛び続けられる飛行機だ・・・・・・・
何度もテストした・・・・・・
何度も失敗した・・・・・・・・
ボディのあちこちにダメージができた・・・・・・・・
しかし何よりもダメージがあったのは俺の小遣いだった・・・・・・・
いつも予算不足になった・・・・・・・
でも妥協はしなかった・・・・・・・・
まだインターネットも無い時代・・・・・・
専門書だって無い・・・・・・
幼稚な設計図も描いた・・・・・・・・
俺はただ感と実体験だけが頼りだった・・・・・・
ボディもダメージが大きくて結局何台も買った・・・・・
そして買う度グレードアップしていった・・・・・・・・
予算不足に悩まされた・・・・・・
でも入る臨時収入とお年玉その他貯金を下ろして俺は情熱を注いだ・・・・・・
美人女優やアイドルと付き合っても三日で飽きる飽きっぽい俺だが一回熱中すると完全に納得するまで熱中する・・・・・・・
結局試行錯誤して出来た機体は、後から見ると櫓式にモーターを中心部に積んだイタリア空軍のサボイア式になっていたのだが、その頃はそんな事知らない・・・・・・・・・
俺の飛行機作りはそのまま人類の飛行機の歴史をトレースする・・・・・・・・
出来上がった飛行機は不細工だったが俺から見れば美しい機体だった・・・・・・・
そして初飛行の日が来た・・・・・・・
俺は喜びを噛み締めて造成地に向かった・・・・・・・・
最初面白がって付いてきた友達も飽きてしまったのか誰も来ない・・・・・・
俺はやや風の強い冬の日、その飛行機「スピリット12号」を持って高台を登っていった・・・・・・
そして高台の一番上に立ち、深呼吸するとその「スピリット12号」を渾身の力でその空の端っこに押し出したのだった・・・・・・・・・
飛んでいく・・・・・・
俺の「スピリット12号」・・・・・・・・
全ての小遣い・・・・・前借してまで貯めた金を注ぎ込んだ俺の飛行機が飛んでいく・・・・・・・
友達はそんな飛行機飛ばないと言った・・・・・・・
ラジコン買って貰えばいいじゃんと言った・・・・・・・・・
違う・・・・・・俺は・・・・・・買って出来合いの飛行機を飛ばしたいんじゃない・・・・・・
しかし、この予算オーバーさは一台まともなラジコン飛行機買えたなぁ~とも思ったが・・・・・・
とにかく俺の「スピリット12号」は偶然の風の助けもあったのかヨロヨロとしながらもやや薄曇りの空を飛んだ・・・・・・・・
神のいたずらか偶然か・・・・・・俺の稚拙な設計の飛行機は高度をかろうじて保ちながら飛んでいく・・・・・・・・・・
どこまでもどこまでも・・・・・・・・・
って・・・・・オイっ!
どこまで飛ぶんだぁ~!
造成地の端っこを風に流されたのか横切り雑木林の上へ・・・・・・・
そして住宅地の方へ・・・・・・・
オイっ!
オイっ!
そのまま俺の全精力を注ぎ込んだ「スピリット12号」は消えた・・・・・・・・・・・・
しかし、俺の中ではそのまま「スピリット12号」はまだどこかの空を飛び続けているのだ・・・・・・・
ちなみに「スピリット13号」計画は資産破綻で頓挫した・・・・・・・・・・・
俺の一家は中心地の団地から郊外の一軒家に引っ越した・・・・・・
そこはまだ開拓地の造成地だった・・・・・・・
ブルドーザーが山を削って掘り返す赤土の荒野と山と雑木林そして青く広い空・・・・・・・
セイタカアワダチソウが生い茂る果てしない原野・・・・・・・・・・・
初めて見る「マムシ注意」の看板・・・・・・・・・・・
子供心に凄いなぁ~と思った・・・・・・・
自然遊びもワイルドになる・・・・・・・・
俺は毎日新しく出来た友達と泥だらけになって遊んだ・・・・・・
青白きシティーボーイの俺もここではすっかり野生児だった・・・・・・・
中心地では前髪を掻き分けながら中原中也なんかを読んでいた俺だが、ここでは丸刈りで西部劇ごっこなんかをやっていた・・・・・・・・・・
ある日から俺はある事に熱中した・・・・・・
美人女優やアイドルと付き合っても三日で飽きる飽きっぽい俺だが一回熱中すると完全に納得するまで熱中する・・・・・・・
飛行機をこの広い空に飛ばそう・・・・・・・・・・
もちろん本物ではない・・・・・・・
この広く青い空に模型飛行機を飛ばしてみたくなったのだ・・・・・・・・・
その頃の俺の目はまだ澄んでいたのだ・・・・・・・・・・
最初はゴム動力の飛行機だった・・・・・・・
しかしすぐに堕ちてしまう・・・・・・・
もっと・・・・・もっと・・・・・・高く・・・・・・・
もっと・・・・・もっと・・・・・・・遠くへ・・・・・・・・・
動力をゴムではなくてモーターにしたらどうだろうか????
俺はさっそくモーターを取り付けてみた・・・・・・・
子供の定番、子供の友達マブチモーターだ・・・・・・・・・
単3電池をセットすると重くてバランスが狂った・・・・・・・・
専用アダプタも買って取り付けたりもしたがやはりバランスが狂う・・・・・
それにこの機体ではモーターと電池は重過ぎる・・・・・・・
そこでやや小さい当時高価なもっと小さい電池を購入し二つ付けた・・・・・・・
モーターの位置も前方から機体の中心へ・・・・・・・・
しっかりどの位置が良いか実験する・・・・・・・・
浮力が足りない・・・・・・・・
翼の面積が足りない・・・・・・・・
ボディが軟過ぎる・・・・・・・・
問題は山積みだった・・・・・・・・・
俺は小遣いをはたいてやや大振りなグライダー機を買った・・・・・・・
真新しいスチレンボディに穴を開けるのは勇気がいった・・・・・・・
しかし俺に妥協は無かった・・・・・・・・・
このまま買ったままで飛ばせばそりゃよく飛ぶだろう・・・・・・・
しかし俺がやりたいのはグライダーではない・・・・・・・
あくまで動力を持ち、どこまでもどこまでもこの大空を飛び続けられる飛行機だ・・・・・・・
何度もテストした・・・・・・
何度も失敗した・・・・・・・・
ボディのあちこちにダメージができた・・・・・・・・
しかし何よりもダメージがあったのは俺の小遣いだった・・・・・・・
いつも予算不足になった・・・・・・・
でも妥協はしなかった・・・・・・・・
まだインターネットも無い時代・・・・・・
専門書だって無い・・・・・・
幼稚な設計図も描いた・・・・・・・・
俺はただ感と実体験だけが頼りだった・・・・・・
ボディもダメージが大きくて結局何台も買った・・・・・
そして買う度グレードアップしていった・・・・・・・・
予算不足に悩まされた・・・・・・
でも入る臨時収入とお年玉その他貯金を下ろして俺は情熱を注いだ・・・・・・
美人女優やアイドルと付き合っても三日で飽きる飽きっぽい俺だが一回熱中すると完全に納得するまで熱中する・・・・・・・
結局試行錯誤して出来た機体は、後から見ると櫓式にモーターを中心部に積んだイタリア空軍のサボイア式になっていたのだが、その頃はそんな事知らない・・・・・・・・・
俺の飛行機作りはそのまま人類の飛行機の歴史をトレースする・・・・・・・・
出来上がった飛行機は不細工だったが俺から見れば美しい機体だった・・・・・・・
そして初飛行の日が来た・・・・・・・
俺は喜びを噛み締めて造成地に向かった・・・・・・・・
最初面白がって付いてきた友達も飽きてしまったのか誰も来ない・・・・・・
俺はやや風の強い冬の日、その飛行機「スピリット12号」を持って高台を登っていった・・・・・・
そして高台の一番上に立ち、深呼吸するとその「スピリット12号」を渾身の力でその空の端っこに押し出したのだった・・・・・・・・・
飛んでいく・・・・・・
俺の「スピリット12号」・・・・・・・・
全ての小遣い・・・・・前借してまで貯めた金を注ぎ込んだ俺の飛行機が飛んでいく・・・・・・・
友達はそんな飛行機飛ばないと言った・・・・・・・
ラジコン買って貰えばいいじゃんと言った・・・・・・・・・
違う・・・・・・俺は・・・・・・買って出来合いの飛行機を飛ばしたいんじゃない・・・・・・
しかし、この予算オーバーさは一台まともなラジコン飛行機買えたなぁ~とも思ったが・・・・・・
とにかく俺の「スピリット12号」は偶然の風の助けもあったのかヨロヨロとしながらもやや薄曇りの空を飛んだ・・・・・・・・
神のいたずらか偶然か・・・・・・俺の稚拙な設計の飛行機は高度をかろうじて保ちながら飛んでいく・・・・・・・・・・
どこまでもどこまでも・・・・・・・・・
って・・・・・オイっ!
どこまで飛ぶんだぁ~!
造成地の端っこを風に流されたのか横切り雑木林の上へ・・・・・・・
そして住宅地の方へ・・・・・・・
オイっ!
オイっ!
そのまま俺の全精力を注ぎ込んだ「スピリット12号」は消えた・・・・・・・・・・・・
しかし、俺の中ではそのまま「スピリット12号」はまだどこかの空を飛び続けているのだ・・・・・・・
ちなみに「スピリット13号」計画は資産破綻で頓挫した・・・・・・・・・・・
by glass-jaw-hopper
| 2008-05-28 22:15
| 喜
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