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その男Glass-Jaw-Hopperグラス・ジョー・ホッパー

整備士

長男誕生の際に新車で買ったうちの車は既に19年車である。
じき20年・・・二十歳を迎えるのだ。

犬猫並に車の二十歳ってたらそりゃ大変な長生きである。

その割に基本は買い物や送り迎えが主なので10万キロ以内で走行距離はそれ程でもない。

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しかしかなりボロくなってしまっているのは否めないのだ。


金があれば買い替えるんじゃなくてレストアしたいなんても思っている。


外国に行くととんでもないボロ車が現役で走っている。

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日本じゃとっくに廃車置き場行きのような車・・・・
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それはただのケチで使い切ろうとしているボロ車ってんではなくてオーナーの愛着で乗っているってのもあるのだ。
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日本と違い二十歳越えると親のスネかじらず自立する欧米では財布の軽い若者はボディとドアがマチマチなツギハギ車を大事に乗っていた。
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オースチン・ミニやフォルクス・ワーゲンの商業パネルバンに若者が乗っているのはファッションではなくて税率が安いのとパーツが豊富だからである。
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アメリカ映画の画面の隅に映っているシビックやアコードも随分旧い型だ。

そんな車が元気にオーナーの生活の足として普通に走っている。
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海外生活中にそんなの見て俺もそんな車の乗り方に憧れた。


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プラモデルで海外仕様の放置シビックを作ったぐらいだ。
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しかしこの日本でそんなボロ車を維持するのは大変である。
どんどん新型作り出し売り出す日本車メーカーはいつまでも旧型のパーツ生産なんかしていない。


全てが使い切り・・・壊れる前に買い替えろ的な発想だ。

割り箸文化である。


俗に言う往年の名車ぐらいしか生き残れない。
金を賭けてピカピカにするマニアだけだ。


整備士も直すんではなくて取り替える専門だ。
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パーツを見付けてもアッセンブリー交換しか出来なくていらんパーツまで付いて来て買わねばならなかったりする。
とにかく使い捨て文化が浸透しているのだ。



日本の技術は素晴らしい・・・日本製品の質も高い・・・・

でも本当に腕のいい整備士ってそんなボロ車を手を汚しながらも直しちゃう欧米諸外国にしかいないのかも知れない。


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重なる維持費・・・来年このお気に入りの車乗っていられるのかな?

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その日は眠れない夜だった・・・

暑くて寝苦しいわけでもない・・・・・
寒くて震えるわけでもない・・・

季節は安眠に適した時期ではないがエアコンと扇風機で寝床は心地いいはずだけど・・・・・

色んな事を考えているうちに寝入るタイミングを失ったようだ。

男にはそんな夜もある。

昼飯にきつねそば定食にするかたぬきそば定食にするか・・・?
待てよ・・・きつねうどん定食って手もあるぞ・・・するってぇと・・・・
たぬきうどん定食ってのもあるわけだこりゃ・・・・・


悩めば悩むほど目は冴えてくる。

白んでくる空・・・・・


こんな朝はスパッと起きて海まで走ろう・・・・・

会社行く前にひと泳ぎだ。


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息子の中学の時の先生は明け方に愛車のMR-Sで箱根をひとっ走りしてコーヒーを飲んでから登校して来るって中坊相手に自慢していたらしい・・・俺だってやる時はやるのだ。

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車にボードを積んで出掛ける・・・・・

霧が出そうな明け方だ・・・・・

視界が利くうちに峠道を通過せねばならない・・・

重い車体をヒールトゥー、ダブルクラッチのテクを駆使して峠道をクリアした。
オートマだけど・・・・・


予想通り峠道を越えた辺りで霧が出てきた。

視界が利かない・・・・・

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山を下り海へ向かう・・・・・


どうだ息子よ、俺だって明け方の優雅なコーヒー飲んでるぜ・・・・・
香ばしい香りが鼻をくすぐる・・・・・

確かにリッチな気分だ。

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俺だってやる時はやるのだ。

その気障な先生に言っておけ、俺の親父もやる時はやるんだと・・・・・

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海に着いた時にはすっかり夜も明けていた。


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隠していたわけではない・・・・・・


ただ自分でもしばらく忘れていただけだ・・・・・・








俺はサーファーだった・・・・・・


もう古い話だ・・・・・・・


今のブッシュの親父が最初に中東で戦争をおっぱじめた時代だ・・・・・



もうセピア色に染まった古い話だ・・・・・




俺は波にこだわるサーファーだった・・・・・・

当時湘南大磯辺りでサーフィンやっていた人は聞いた事があるかもしれない・・・・・・・






浜での俺の名前はQuick・turn・Joe・・・・・・・・・



そう伝説のサーファーだ・・・・・・・・


隠していたわけではない・・・・・・


ただ自分でもしばらく忘れていただけだ・・・・・・


俺が伝説を作ったわけではない・・・・・・
伝説が俺についてきただけだ・・・・・・・・


いつの間にか噂は伝説になる・・・・・・・





俺は波にこだわるサーファーだった・・・・・・

気に入った波しか乗らない男・・・・・・・・・


俺はどこまでもどこまでもそんな気に入った波を追っていった・・・・・・・


そんな波の話を聞いてはサーフボードを抱えてどこまでも出掛けて行った・・・・・・







俺の波・・・・・・


俺の追う波は・・・・・・






高さ50cm以下の波・・・・・・・・・

それ以上の高い波の時は浜で即座に踵を返して帰る・・・・・・




そんな俺を誰が呼んだのかQuick・turn・Joe・・・・・・・・

東京から来ていたビジターもローカル達も俺をそう呼んでいたらしい・・・・・・

いつの間にか噂は伝説になる・・・・・・・

2000年になるちょっと前、最後にそんな波を求めて浜に行った俺は波がやや高いのを確認するといつも通り踵を返して帰った・・・・・

その時浜に座った少年が目に入った・・・・・・
俺は「やるよ」と驚いたその少年に自分の長年の愛用ロングボードをあげたのだった・・・・・・・




2000年目前のノースショワの日、俺のサーフィンは終わった・・・・・・

そして伝説のQuick・turn・Joeもその浜から消えたのだった・・・・・・・



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もうセピア色に染まった古い話だ・・・・・




満足するまで波に乗った・・・・・
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さぁ家に帰って出勤だ。



バカでかいボードを渡され途方に暮れて迷惑そうにしている少年の目が忘れられない・・・・・・



やっぱきつねそば定食にしよう・・・・・



by glass-jaw-hopper | 2014-07-14 23:50 |

ガラスの顎のリスクでジャンプし続けるバッタ
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