その男Glass-Jaw-Hopperグラス・ジョー・ホッパー

グラスジョーのおいしいレストラン

かつては高飯だった寿司もイタリアンも安い回転寿司やチェーン店が出来て庶民もそれなりに楽しめるけどフレンチっていつまで経っても高い飯だよね・・・・・
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そう言えばまともなフレンチ食ったのはホテルでやる結婚式の披露宴の時ぐらいだ。


かと言って自分で作れないし・・・・・

娘にセンス無いからってんで最近料理をさせてもらえない俺・・・
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実は料理好きなのだ。
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自分では煮物の魔術師と呼んでいる。
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信長は濃い味付けを好み京から連れて来た料理人達に田舎者と陰口叩かれたと聞くが俺の料理も基本濃い口だ。
濃い辛口はご飯に合うのだやっぱ・・・・・つまみにもいい・・・

やっぱ田舎者である俺・・・・・
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大学卒業後しばし芝居活動をしていた俺はコックのバイトをしていた。
恵比寿にあるでっかいビアホールレストランだ。

夏場限定のビアガーデンではないレンガ造りの格式ある旧いレストランだ。
だから季節営業のビアガーデンみたいに酔っ払いの酒飲み相手だからって枝豆をレンジでチンするだけってわけではなくてちゃんと調理するレストランだ。

そこで俺は皿洗いのバイトをしていたのだった。

とにかくでかいレストラン・・・・・・広大な敷地面積・・・
膨大な洗い物が大量に出た。

それをプラスチック製のトレイに乗せてどんどん皿洗い機に突っ込むのだ。
そしてどんどん拭いて皿棚に戻す。

実に単調な仕事だった。

聞けば椎名誠先生も若い頃六本木のイタリアンレストランの皿洗いをしていたそうで親近感がわいた。
俺のバイト先の大型ビアホールと違って普通サイズのレストランなのでシンクで手洗いだったようだ。
きっとイタリアンなのでチーズなんかがこびり付いてそりゃ大変だったろう・・・
グラタン皿なんか特にね。
その当時六本木野獣会と称して遊び歩いていた加賀まりこが仲間でよく客に来ていたらしいけど椎名誠先生はその厨房で一番下の下層階級として皿洗いしていたそうだ。
その後作家として売れてそんな遊び歩いていた女優を使ってやる立場になってアッパレである。



調理人の世界は特殊である。
上下関係は絶対であり、これは芸人の師匠、兄弟子、弟弟子より厳しい段階世界だ。
挨拶は絶対だしその他礼儀にもうるさい。
芸人と違って仕事中同じ厨房空間で勤務時間中顔を合わせていなくてはいけないのだ。
人間関係がこじれると逃げ場も無くて実に厄介である。
凶器の包丁ナイフも手元にあるしね・・・・・
これがまし客船の調理場勤務だったら更に狭い世界だろうね〜
いつ海に放り投げられるかわからん・・・・・
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そんな中で俺はせっせと働いた。
出勤して来て厨房に入るまで普通のおっさんが厨房に入ったとたんコックシェフになる様は不思議な光景だ。
医者も警官もコックも制服着ると途端に変身する。
袖を通すと誰でもそれなりに見えるのはそれだけこの種のユニフォームは徹底的に画一されているのだろう。
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バイトで出勤し厨房に入るとムッと立ち籠める香りと湿り気水蒸気・・・・・
大手のケーキ工場でバイトしていた時もバイト入りするとムッと甘い香りに辟易としていたけどレストランの厨房は色んな香りが混じっている。
特に冬場は外の乾燥した大気の世界から厨房に入ると一瞬で肌が貪欲に水分吸収し始めるのがわかる。
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何故かそこの調理人はバイク乗りが多かった。
オフの日はツーリングなんかする人が多いようだった。
ツナギ着てバイク通勤して来る人も多かった。
敷地は広いので停める場所もあったのだ。

調理とバイクは何か共通するのだろうか?

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一緒に黙々と長時間仕事しているが一致団結しているわけではなくてお互いプライドが高く個性の強い調理人達は滅多にオフの時は会わないようだった。


皿洗いから雑用まで任されるようになった時にクレソン取りに離れの冷蔵蘇生室に閉じ込められてたまたまポケットに入れっぱにしていた芝居の舞台作り道具のビクトリノックスのナイフで脱出した事もあった。
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このバイトでは業務終了後に皆で賄い飯を食べる。
先輩の本職コックが余った材料でササッと飯を作るのだがこの辺りはさすが本職の調理人、実に満足がいく賄い飯だった。
大学も卒業してしまって学食利用出来なくなった一人暮らしの俺にしてみれば実にありがたい賄い飯である。
後にも先にも高級刺身だけ腹一杯になったのはこの時だけである。
その代わりに天ぷらのかき揚げで後日まで胸焼けしてしまったのもこの時期だ。

そんな劇団終了後恵比寿まで行って働いて恵比寿から調布のアパートまでバイク通勤する生活が続いた。

夏の終わる時期に始めたバイトは秋になり冬になり・・・日が暮れるのが早く寂しい時期、俺はから揚げ係りに昇格した。

別に皿洗いでも構わないのだが、何か知らないがから揚げ係りに昇格・・・・・・
いきなり中堅のバイトが離脱して俺が埋め合わせになったのか、高校生の多いバイトで年長者の俺が抜擢されたのかはわからない。
でも調理師界は年功序列感覚があってやたら年齢を聞かれた。
タメかそうじゃないかは言葉遣いにも影響するらしい。

よく日本では相手の年齢を聞くとかいちいちニュース報道でも年齢表示されると外国人が怒ってるけど、年功序列感覚があって年上には敬語使わねばならないこの国じゃ仕方ないのだ。
上司が「ピーター」と呼んでくれなんて言って来る事無いのだ。

それまで偉そうな態度で接してきていたヤツが実際俺が大学卒業して年齢が上だと知って急に態度が変わったりした。


そんな中俺はから揚げや川エビのフライをざくざく作った。

とにかくでかいレストラン・・・・・・・

週末の晩飯時なんかはのべつまくなしにオーダーが入る・・・・・・
厨房は大きくたくさんのコックがいたが、オーダーに追いつかない程忙しい・・・・・

コック帽の縁に爪楊枝を刺して、から揚げが揚がる度にプスッと刺して唇下に当てて中まで暖かいか確認する・・・・・
先輩から教えられたそんなテクを素直に駆使して俺は時間一杯油の脇で働いた。

しかし気付いた事がある。

忙しいと逆に楽なのだ。

あっという間にバイト時間が終わってしまう。

皿洗いの時は長くて嫌になるバイトが料理作って忙しいとすぐに終わってしまうのだ。

不思議だ・・・・・・・マーフィーの法則か?



とにかく俺はせっせとから揚げやその他揚げ物を作り続けた・・・・・・・

そして慣れてくると、色々気付く事がある。
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ウエイター、ウエイトレスがオーダーを取ってくると厨房の受け口にプラスチックの札が並ぶ・・・・・・
ビールなら黄色い札、から揚げ緑の札・・・・・・・

それを見ているうちにそのテーブルのお客の構成がわかるのだ。

子供がいる家族連れかおっさんばかりの飲み会かカップルか女子会か・・・・・・


そうすると俺も色々楽しむようになる・・・・・・

子連れの席のから揚げはややジューシーにおっさんばかりの席はビール対応でやや熱々カリカリに・・・・・・
女子会と思ったらおしゃべりに夢中なのでしばらく放置されるから醒めにくくジュージュー熱めに・・・・・

推測して工夫するのがおもしろい・・・・・


するとどうだ・・・・・・・

おっさんらからお代わりのオーダー、子連れからもお代わりで同じものが入るようになった。
色んな物を食べたがる女子会からも同じ物の追加オーダーが・・・・

作り手としてこれは嬉しい・・・・・・・

俺はもっと美味しく美味しく作るようにした・・・・・・ただの単調作業にクリエイティブ性が加わった。


そんな事をやっていたら、月の売り上げで俺の担当の揚げ物が一位になってしまった。

まぁ人気メニューだからもあるが、1バイトが作っているメニューがトップになってしまった。
広大な面積を誇る大きなビアホールなので厨房も何セクションもあるのだが俺の厨房の揚げ物が一番になったのだ。

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すると今度は俺はザワクラウトソーセージ係りに昇格・・・・・・

言うなればビアホールレストランにおいて一番の花形部署である・・・・・・

ソーセージの盛り合わせとザワクラウトの大皿メニューである。
高価なので団体客しか頼まない。


今までの川エビ、から揚げ揚げ物が巡洋艦駆逐艦なら大皿ザワクラウトソーセージは紛れもなく戦艦大和である。
それまでの身軽な戦闘機乗りが大型爆撃機に転属されたような感覚だ。


俺はから揚げでも良かったのだが、個人的にもザワは好きなので、また黙々と仕事をした・・・・・

料理人は寡黙であればある程腕がいいようだ・・・確かに腕のいい先輩シェフは黙々と仕事している。
さんまとかが調理人だったらきっとダメダメだろう多分・・・・・
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大皿ザワクラウトソーセージの時もテーブルのオーダー状況を見て、ビールが多目の席にはやや濃い味に・・・・・
あっさり系が多い席には辛くないように・・・・・・・

ソーセージはパキッと気持ちいい歯応えがありジワッと肉汁が口の中で出るように・・・・・


ザワクラウトとソーセージの大皿のオーダーは目に見えるように増えた・・・・・・・

俺はつくづく物作りが好きなようだ・・・・・・

自分の作品を喜んでくれる人が居るば居る程楽しく張り切る・・・・・・・


そして月の売り上げは伸びた・・・・・・・・
同じ席からザワソーセージ大皿が続けてオーダーされる珍現象も起こった。

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調理師免許取ってここに就職したらなんて言われた。

シェフ厨房仲間だけでなくてそのレストラン経営陣社員さんにも誘われた。
まぁ時はバブル期・・・金が余っているけど人材不足の時代、いくらでも人件費掛けれたって事もあるのだろうけど・・・・・

俺も誘われて嬉しかったっけ・・・・・何か調理って合ってるぞ〜なんても思い出していた。



しかし・・・やはりここにも俺を目障りだと思うヤツがいた。
どこにでも何故か居る・・・・・・
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シェフ仲間からも嫌われているヤツ・・・・・
そいつの居ない所では皆自然にそいつの悪口で盛り上がるようなヤツ・・・・・・
しかし何故か俺は嫌われ者に嫌われる・・・・・・
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そう言う大型レストランでは決められたレシピを決められた作り方で出すのが正しいとされている・・・・・・・

確かにそうだろう・・・・・・

まぁ俺もどこかバイトだって言う事で正社員のシェフと違った事が出来たところもある・・・・・・


しかし俺の担当部署の売り上げが伸びれば伸びるにつれて、その嫌われ者は俺に難癖を付けてきた・・・・・
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他の先輩シェフ、バイト仲間が俺に気にするなよ~と言ってはくれるのだが、さすがに耐えられなくなってきた・・・・・・


最後は厨房で遠くからわざと小さくわかりにくい指示事言って聞き返した俺に返事が悪いとおたまを投げ付けてきたそいつを外に連れ出してケンカして終わった・・・・・・・



もしそんな事が無かったら今頃はフランスで俺はレストランを開いていたかもしれない。



物作りすると没頭する俺にとって確かにクリエイティブな仕事でいいバイト先であった。
しかしその上下の人間関係は時に不条理な要求もある。
先輩が後輩に無理難題を押し付けてほくそ笑んでる様は低能な体育会系みたいな所もある。
しかもそこには体育会系の無邪気さは無い。

絶対自分の子供には就かせたくない仕事だと思ったよ。



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次男は調理師の専門高等学校に行きたがっていた。
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もしかしたら将来その道に進むかも知れないけどね。
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by glass-jaw-hopper | 2014-07-20 00:53 | | Trackback | Comments(0)
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