その男Glass-Jaw-Hopperグラス・ジョー・ホッパー

社長の正体

バイトで食いつないでいた時期に小さな広告会社でデザインをしていた。

広告会社って言っても老朽化したオンボロビルの一室でやっている個人規模の会社である。


どこにでもいそうなおっさんの社長とあと社員とバイトで4〜5名で構成された零細企業・・・

広告会社って言うより漫画家とアシスタントの事務所って規模だ。

それでも俺はせっせとバイクで通って仕事していた。
何せ金の無い時期、交通費の定期代を浮かせる為もあったのだ。
それでも初めてタイムカードが設置されていない職場で朝は比較的にのんびり出勤出来るけど実は毎晩深夜残業って辛い会社でもあったのだ。

仕事内容は新聞の片隅に載っける広告のデザイン・・・Macも無い時代デザイン構成を決めると文字のQ数を計り写植屋さんに依頼・・・・上がった写植をはめてそれを印刷屋に流すのだ。

写植屋に依頼するのも徒歩で行って、印刷屋にも徒歩で行った。
写植屋も同じような規模の会社だった。
その界隈にはそんな小さな会社が密集していた。
今から考えれば効率の悪い進行であったけどデスクワークからしばし開放されるので息抜きにはなった。
今から帰社しても終電まで帰れないだろうなぁ〜なんて思いながらちょっと気分はブルーになったっけ・・・



取引の印刷屋はいろんな新聞社と提携している印刷屋で繁華街の地下にある狭いスペースに20人ぐらいがワサワサ仕事している。
皆営業と言うよりブローカー的で結構テキトーな感じなのだ。
何故か皆将棋が好きなようで休み時間に行くと社内で皆将棋盤出して将棋に夢中なようで俺の持って行った原稿なんか実に面倒臭そうに受け取りすぐに将棋再開しちゃうのだ。
きっと仕事中も次の一手を考えているのが濃厚である。

昨年秋ちょっと仕事の関係でそば通ったんでその会社を20年振りに見に行ったらまったく違う美容院になっていた。


とにかく零細企業の連携仕事をせっせとしていた20代の頃・・・・・

その俺の広告会社のビルの一階の階下がいきなり空手道場になった。

そんな商店オフィス街に何で道場を作ったかは不明だったけど最寄りの住宅街から通って来る練習生や勤め帰りの人が運動不足解消のつもりで入門して中々繁盛し始めた。

それまで割と静かなビルが急に騒がしくなった。
前は健康食品の店でやっているのかやっていないのかわからないぐらいだったのに・・・・・

夏場などは窓を開けて仕事していると階下から掛け声と号令とドドンと響く足音がモロに入って来た。

それはいいのだが、空手道場になったら門下生練習生が階段付近でたむろする事が多くなったのだ。

そんなに広い道場じゃないので溢れた練習生が外階段に座り込んで占拠している場合が多い。
1日に何部か分けて指導があるらしく待ち時間も階段に座り込んでダベっているのだ。

階段通る度に「すみません〜すみません〜」とどいてもらうのが億劫になってくる。

最初どいてくれた連中もどんどんズーズーしくなり面倒臭そうに一瞥してちょっと肩の角度変えたりするぐらいになった。

その傾けた肩と肩の隙間を通れって態度・・・・・

階段だけでなくてビルの前にも道着着たまんまたむろしている。

ビルの前に停めてある俺のバイクのシートのベルトを手慰みに引っ張りながら話していたりして不快であった。

自分らが空手習って道着着た集団なので強気になっているようだ。



勿論ビル全体からクレームが出ていたようだ。


階段でどいてくれないヤツの階段地べたに置いてある黒帯を踏んづけてやって喧嘩しそうになった事もある。
勿論社員バイトらから言われ社長が道場の責任者にクレーム入れてもハイハイ注意しますとテキトーに受け流すだけ・・・

注意された事を逆恨みしているのかいつもガン飛ばして来るグループもいて俺はバイク何かされるんじゃないかと別場所に停めるようになったのだ。






そんなある日の夜半過ぎ・・・・・

ビルの前にクラウンとバンが停まった。

クラウンは黒金の仏壇カラーで当時は規制が緩かったのでフルスモークの窓、どう見ても堅気の人が乗るタイプではない。
バンは明らかに街宣車である。
降りて来た面々も堅気には見えない方々・・・

そんな凄みのある面々がうちの会社にワラワラとやって来たのだ。

そううちの会社の広告はそちら系の業界紙用が大半を占めていたのだ。
そしてそちら系の面々はうちの社長に最敬礼状態・・・・・

どうやら社長は普段人の良さそうな中肉中背のおじさんだけどそちらの方ではかなり上のポジションの存在であったようだ。
社長自身が高いポストなのかは不明だけどかなりそっち側の重鎮に顔が利くのは確かである。

仲間で花見する時はそんな堅気の自分の会社持ったおじさんらが集まっていたけど誰もが実は裏では皆大物級だったようだ。


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社長はいつも遅くまで仕事していて確かに時々目付きに妙な迫力が充満しオーラを放つ時があったけど普段は本当に甘党の温厚なおじさんだった。

出先からイチゴのタルトなんか買って帰って皆に差し入れし自分も嬉しそうに食べていた。



ラフな服装している社員バイトと違い一人で営業も兼ねている社長はいつもスーツ姿である。
至って地味なスーツであったけど夏場でも長袖ワイシャツなのは腕まで入れ墨が入っているからと噂されていた。
まさかとは思っていたけど・・・

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とにかくビビった空手兄ちゃんらはその後いっさい道場からはみ出てたむろしなくなった。

溢れてしまった練習生が階段その他公共スペース端にに申し訳無さそうに立っている時はあったけど・・・・・

社長が「散らかしちゃいかんよ〜」と注意したジュースの自販機周りも以前空き缶が散乱していたとは信じ難いぐらいスッキリ整理されていた。





もう20年前に辞めてしまったそんな会社と空手道場が今どうなっているのかはわからない・・・・・




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by glass-jaw-hopper | 2014-04-15 23:10 | | Trackback | Comments(0)
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