お受験黒星スタート
幼い頃住んでいた団地のそばに私立の小学校の付属幼稚園があった。
明らかにその他の野性的な幼稚園に比べて制服もベレー帽に吊りズボンスカートなんかでお上品な幼稚園であった。
その幼稚園に入ればその上の難関と言われる私立の小学校中学にエスカレータ式に入れるのである。
団地の子供らは皆その私立の幼稚園の受験を受けるのが恒例になっていた。
合格率は数パーセントの「お受験」の走りである。
俺もオカンに言われるまま受験したのだが、まず最初にオカンオトンを悩ませたのは履歴書である。
履歴書てぇ〜!
幼稚園受験する俺の履歴書・・・だって幼稚園就園前の幼児である・・・言わばさっき生まれたばかりで履歴なんて無いのだ・・・・・
多分ピアノ習っているとか習字習っているとか習い事でも書くのであろうが、ほとんど野生児の俺にはそんな履歴は無い・・・・・
習い事と言えばその後小学生の低学年時代に団地の集会所でやっていた「そろばん教室」に通って6級を取ったが珠算6級ってそろばん習っていない人より出来ない状態である。
何か妙に良い匂いのするそろばんに鼻をくっつけて恍惚としているだけの俺は習い事には当時からとんと縁が無かった・・・・・
今でも覚えているだがオカンが悩んだ末履歴の欄に書いていたのは「学歴無し」だった。
その「学歴無し」は団地中に衝撃と笑劇を与え伝説となった。
ちなみに大学卒業後しばらく社会の歯車になる事を拒み下北辺りで演劇活動なんぞに身を投じていた友人の今ではメジャーになった脚本家の土屋理敬君は、さてそろそろちゃんと就職するかって時の履歴書の欄に真っ新な自分をアピールしようと「職歴無し」と書くつもりを間違えて誇らしげに「学歴無し」と記して送ってしまった。
そして受験の日・・・何だか良い格好の服を着せられて偽お坊ちゃま風の俺はオカンに連れられて受験会場へ・・・・・
そこでオカンと一緒に面接官と話をする。
覚えているのは面接官に言われた動物を教室のホワイトボードにマグネットで貼ってあるイラストパネルから選んで持って返って来るって試験だった。
犬猫牛象鶏は難無くクリア・・・そこからやや難しくなって行く・・・・
虎、ライオン、そして言われたのが豹・・・・・実は俺はその頃タイガーマスクにハマっていて猛獣類に関してはかなりのマニア状態だったのだ・・・
でも図鑑から写したのかその妙にリアルなイラストパネルの中には豹がいない・・・・・
明らかに豹として貼られているのはジャガーである・・・
身体の斑点文様が似ているが豹とジャガーでは微妙に違うのだ。
勿論チーターも違う・・・・・
俺は面接官に豹はいないと言った。
だってジャガーはアマゾン流域のジャングルに生息して豹とは全然違うのである。
多分他の子はそのジャガーを何の疑いも無く、もしくは妥協して豹として持っていくだろうが自称動物博士の俺はジャガーを豹とする事が許し難かったのだ。
面接官らは作り笑いしながら本当に豹はいないかなぁ〜と言ってきたが俺はジャガーはいるよと面接官に訴え言っただけだった。
何やら面接官らはメモを取っていた。
その後受験生一同はホールに集められて皆で遊ぶ事になった。
幼稚園の先生らしき女の人がチラホラ混じっていて名札を付けた受験生の幼児を観察している。
無邪気に勝手に遊ばせながらしっかりチェックしているって狡い大人の世界である。
その時にお面を作って被って遊ぶのだ。
好きな動物のお面を描いて作るのだが、俺は迷わず虎のお面を描いて作った。
タイガーマスクが好きだった俺はその時期虎にハマっていたのだ。
オカンに散髪された時もトラ刈りになっちゃったぁ〜と言われて意味もわからず喜んでいたぐらいだ。
限りなく赤に近い毛並みに縞模様・・・
あれ?赤い虎なの?黄色無かった?と聞いてくる先生に俺は虎って赤いんだよと言う。
そうなのだ普通黄色に黒で描かれているけど初めて動物園で間近に見た虎はオレンジがかった赤でムッとする獣臭い体臭を巻き散らかしながら檻の縁を苛立たしそうに行ったり来たりしていたのだ。
虎は得物を待ち伏せして狩ると聞いていた俺はよくこんな獣臭さを発しているのに得物の鹿とかに気付かれず狩れるもんだと感心したのだ。
皆で遊戯した後お絵かきの時間になった。
お絵かきは俺の得意中の得意科目である。
大学の美術の先生でもある絵描きのじいちゃんを持つ俺は幼少の頃からスケッチブックなんかを買って貰って絵を描く事に熱中していた。
そこで出されたお題は「楽しかった事」であった。
俺は何が良いかなぁ〜と悩みながらも家族で行った富士山の裾野の貸別荘で泊まった旅行の様子を描く事にした。
描き始めるに連れて俺の回りには人だかりが出来はじめた・・・明らかに他の子と違うハイレベルな絵である。
リアルなアングルに遠近感そしてグラデーションを駆使した色の流れ・・・・・
俺の履歴には絵を習っているとは記されていないが明らかに習っている子より上手い。
何せヨチヨチ歩きの時代からオカンの実家の画家のじいちゃんの横で始終一緒に描いていたのだ。
弟子には宇野亜喜良なんかがいる前衛画家のじいちゃんにまとわり付いて俺なりに技を盗んでいたのである。
ちなみにばあちゃんはディック峰が少年期憧れていたって小町で初恋の人として再会番組のテレビ番組に呼ばれていたっけ・・・・・
考えてみれば随分ハイカラなジジババであった・・・・・
今でも時々子供の絵の宿題の代筆する時もある。
とにかく俺は絵を描き続けた・・・・・・
責任者らしき年長の偉い先生もほぅ〜ほぅ〜としきりに感心し俺にベタ付け状態・・・・・
困ったのはその偉い先生の手前のモーションなのか他の先生がやたら俺に構うようになった。
先生らしき女の人がこれは太陽?と聞いてきた。
他の子は太陽は真っ赤にグルグル描いていたが俺の太陽は白く回りは黄色く青い空に光線を溶け込ませてかなりリアルな表現だった。
太陽は赤でしょと言ってくる先生に俺は頑なに太陽は赤くなくて白く光っているんだと言った。
すると今度はこれは富士山かと聞いてくる。
そうだと言うと富士山は青くて雪が掛かっているでしょと言ってくる。
俺が初めて行った間近な富士山は真夏で雪は無かったし麓から見上げる富士は青くなくて樹木で覆われた緑色だったのだ。
初めて見た木から木に飛ぶ野生のリス・・・麓の川の水面を身をくねりながら渡る蛇・・・むせるような真夏の樹木の香り・・・ワンワン鳴いている蝉の鳴き声・・・・・涼しい夜風と一緒に窓から入ってくる初めて聞く本物のフクロウの鳴き声・・・・生命感に溢れた富士山・・・・・
深い緑から頂上に掛けて薄い緑にグラデを掛けて描いた有機質な富士は一般に認知されている青くてギザギザに雪が掛かった無機質な富士山とは違ったのだ。
俺は横から口出す先生の意見をよそに直す気はさらさら無くて時間の限り描き続けたのだった。
自動車旅行だったので自慢のオトンのコロナも描いた。
車の絵を描くのも好きで俺の車の絵は友達らが欲しがる程リアルである。
ボディも一色で描くのではなくて濃い部分と光を反射している薄い部分と光って見えるハイライトを描いて3色で描きメタリックな感じを再現する。
これらは自動車図鑑やトミカのミニカーの箱のリアルなイラストから学んだ画法である。
もっと車は大きいでしょと言ってくる先生にうちのコロナは1600で小振りでキビキビ走るところがオトンのお気に入りなんだと説明する。
後日小学生になった時クラスメイトの山内和彦君(仮名)は俺の図工の時間に作ったブリティッシュライトウェイトスポーツカーによほど衝撃を受けたのかそっくり真似て家で作って俺と浜口光彦君(仮名)に真似だ真似だと責められた。
そしてロッジの前のテーブルで嬉しそうに座ってご飯を食べているオトンオカンまだ小さい妹を描く・・・
また先生が自分は?と聞いてくる・・・・・
回りの子は家族と自分を描いていたが、俺の絵はあくまで自分視点のスケッチであり自分の目に映った風景なので自分は描かれていない。
何でこの赤ちゃんはテーブルの上にいるの?おかしいでしょ聞いてくる先生・・・
まだヨチヨチ歩きだった赤ちゃんの妹は目が離れると危ないってんでロッジのでかくて広い木のテーブルの上に乗せられハイハイしていたのが俺はおかしかったのだ。
自分も描けばとうるさく言ってくる先生にその説明し俺は描き終えたのだった。
短い時間内にしては満足出来る出来映えであった。
そしておやつの時間・・・受験生の子らにはフルーツが配られる・・・・・
その際にバナナかミカンかブドウを選ばせるのだ。
俺の前の子らは全員がバナナを選んで貰っていた。
バナナ人気モードである。
俺もバナナが好きだったけどそんなにバナナばかりオーダーすると人数分が無さそうだ・・・・
きっと俺の後ろの子らまでバナナは回るまい・・・・・
俺は機転を利かせたつもりでブドウを選んだ・・・・・・
ところがここに罠があった。
バナナは実にシンプルに食べられてゴミも実に簡単に処理出来るがブドウは食べるのには時間も要し実に複雑なアクションを要しつつ汁だらけになりゴミも散らかる・・・・・
澄ました顔してバナナをさっさと食ってゴミをわざとらしくゴミ箱はどこですか〜と廃棄した連中の中で俺はブドウと格闘しもたついた。
そんなに食べたいわけではないが、おやつの割には房が多く食べ残すのも何だか勿体ないので俺は汁だらけになりながらも最後まで食べた。
しっかりその様子をチェックしている試験官・・・・・・
結局その試験日は変で納得出来ない動物試験とホールでのやたら干渉されまとわりつかれてやりにくいお絵かきと食いにくいおやつ食って帰ってきたのだった。
結局そのお受験は不合格となり人生初の俺の汚点となった。
思い起こせばジャガーにこだわり、主張を曲げず絵にこだわり、おやつを食い散らかした俺は言う事を聞かず協調性に欠けるとでも診断されたのだろう・・・・・
「学歴無し」の履歴には受験失敗の履歴が追加されたのである。
明らかにその他の野性的な幼稚園に比べて制服もベレー帽に吊りズボンスカートなんかでお上品な幼稚園であった。
その幼稚園に入ればその上の難関と言われる私立の小学校中学にエスカレータ式に入れるのである。
団地の子供らは皆その私立の幼稚園の受験を受けるのが恒例になっていた。
合格率は数パーセントの「お受験」の走りである。
俺もオカンに言われるまま受験したのだが、まず最初にオカンオトンを悩ませたのは履歴書である。
履歴書てぇ〜!
幼稚園受験する俺の履歴書・・・だって幼稚園就園前の幼児である・・・言わばさっき生まれたばかりで履歴なんて無いのだ・・・・・
多分ピアノ習っているとか習字習っているとか習い事でも書くのであろうが、ほとんど野生児の俺にはそんな履歴は無い・・・・・
習い事と言えばその後小学生の低学年時代に団地の集会所でやっていた「そろばん教室」に通って6級を取ったが珠算6級ってそろばん習っていない人より出来ない状態である。
何か妙に良い匂いのするそろばんに鼻をくっつけて恍惚としているだけの俺は習い事には当時からとんと縁が無かった・・・・・
今でも覚えているだがオカンが悩んだ末履歴の欄に書いていたのは「学歴無し」だった。
その「学歴無し」は団地中に衝撃と笑劇を与え伝説となった。
ちなみに大学卒業後しばらく社会の歯車になる事を拒み下北辺りで演劇活動なんぞに身を投じていた友人の今ではメジャーになった脚本家の土屋理敬君は、さてそろそろちゃんと就職するかって時の履歴書の欄に真っ新な自分をアピールしようと「職歴無し」と書くつもりを間違えて誇らしげに「学歴無し」と記して送ってしまった。
そして受験の日・・・何だか良い格好の服を着せられて偽お坊ちゃま風の俺はオカンに連れられて受験会場へ・・・・・
そこでオカンと一緒に面接官と話をする。
覚えているのは面接官に言われた動物を教室のホワイトボードにマグネットで貼ってあるイラストパネルから選んで持って返って来るって試験だった。
犬猫牛象鶏は難無くクリア・・・そこからやや難しくなって行く・・・・
虎、ライオン、そして言われたのが豹・・・・・実は俺はその頃タイガーマスクにハマっていて猛獣類に関してはかなりのマニア状態だったのだ・・・
でも図鑑から写したのかその妙にリアルなイラストパネルの中には豹がいない・・・・・
明らかに豹として貼られているのはジャガーである・・・
身体の斑点文様が似ているが豹とジャガーでは微妙に違うのだ。
勿論チーターも違う・・・・・
俺は面接官に豹はいないと言った。
だってジャガーはアマゾン流域のジャングルに生息して豹とは全然違うのである。
多分他の子はそのジャガーを何の疑いも無く、もしくは妥協して豹として持っていくだろうが自称動物博士の俺はジャガーを豹とする事が許し難かったのだ。
面接官らは作り笑いしながら本当に豹はいないかなぁ〜と言ってきたが俺はジャガーはいるよと面接官に訴え言っただけだった。
何やら面接官らはメモを取っていた。
その後受験生一同はホールに集められて皆で遊ぶ事になった。
幼稚園の先生らしき女の人がチラホラ混じっていて名札を付けた受験生の幼児を観察している。
無邪気に勝手に遊ばせながらしっかりチェックしているって狡い大人の世界である。
その時にお面を作って被って遊ぶのだ。
好きな動物のお面を描いて作るのだが、俺は迷わず虎のお面を描いて作った。
タイガーマスクが好きだった俺はその時期虎にハマっていたのだ。
オカンに散髪された時もトラ刈りになっちゃったぁ〜と言われて意味もわからず喜んでいたぐらいだ。
限りなく赤に近い毛並みに縞模様・・・
あれ?赤い虎なの?黄色無かった?と聞いてくる先生に俺は虎って赤いんだよと言う。
そうなのだ普通黄色に黒で描かれているけど初めて動物園で間近に見た虎はオレンジがかった赤でムッとする獣臭い体臭を巻き散らかしながら檻の縁を苛立たしそうに行ったり来たりしていたのだ。
虎は得物を待ち伏せして狩ると聞いていた俺はよくこんな獣臭さを発しているのに得物の鹿とかに気付かれず狩れるもんだと感心したのだ。
皆で遊戯した後お絵かきの時間になった。
お絵かきは俺の得意中の得意科目である。
大学の美術の先生でもある絵描きのじいちゃんを持つ俺は幼少の頃からスケッチブックなんかを買って貰って絵を描く事に熱中していた。
そこで出されたお題は「楽しかった事」であった。
俺は何が良いかなぁ〜と悩みながらも家族で行った富士山の裾野の貸別荘で泊まった旅行の様子を描く事にした。
描き始めるに連れて俺の回りには人だかりが出来はじめた・・・明らかに他の子と違うハイレベルな絵である。
リアルなアングルに遠近感そしてグラデーションを駆使した色の流れ・・・・・
俺の履歴には絵を習っているとは記されていないが明らかに習っている子より上手い。
何せヨチヨチ歩きの時代からオカンの実家の画家のじいちゃんの横で始終一緒に描いていたのだ。
弟子には宇野亜喜良なんかがいる前衛画家のじいちゃんにまとわり付いて俺なりに技を盗んでいたのである。
ちなみにばあちゃんはディック峰が少年期憧れていたって小町で初恋の人として再会番組のテレビ番組に呼ばれていたっけ・・・・・
考えてみれば随分ハイカラなジジババであった・・・・・
今でも時々子供の絵の宿題の代筆する時もある。
とにかく俺は絵を描き続けた・・・・・・
責任者らしき年長の偉い先生もほぅ〜ほぅ〜としきりに感心し俺にベタ付け状態・・・・・
困ったのはその偉い先生の手前のモーションなのか他の先生がやたら俺に構うようになった。
先生らしき女の人がこれは太陽?と聞いてきた。
他の子は太陽は真っ赤にグルグル描いていたが俺の太陽は白く回りは黄色く青い空に光線を溶け込ませてかなりリアルな表現だった。
太陽は赤でしょと言ってくる先生に俺は頑なに太陽は赤くなくて白く光っているんだと言った。
すると今度はこれは富士山かと聞いてくる。
そうだと言うと富士山は青くて雪が掛かっているでしょと言ってくる。
俺が初めて行った間近な富士山は真夏で雪は無かったし麓から見上げる富士は青くなくて樹木で覆われた緑色だったのだ。
初めて見た木から木に飛ぶ野生のリス・・・麓の川の水面を身をくねりながら渡る蛇・・・むせるような真夏の樹木の香り・・・ワンワン鳴いている蝉の鳴き声・・・・・涼しい夜風と一緒に窓から入ってくる初めて聞く本物のフクロウの鳴き声・・・・生命感に溢れた富士山・・・・・
深い緑から頂上に掛けて薄い緑にグラデを掛けて描いた有機質な富士は一般に認知されている青くてギザギザに雪が掛かった無機質な富士山とは違ったのだ。
俺は横から口出す先生の意見をよそに直す気はさらさら無くて時間の限り描き続けたのだった。
自動車旅行だったので自慢のオトンのコロナも描いた。
車の絵を描くのも好きで俺の車の絵は友達らが欲しがる程リアルである。
ボディも一色で描くのではなくて濃い部分と光を反射している薄い部分と光って見えるハイライトを描いて3色で描きメタリックな感じを再現する。
これらは自動車図鑑やトミカのミニカーの箱のリアルなイラストから学んだ画法である。
もっと車は大きいでしょと言ってくる先生にうちのコロナは1600で小振りでキビキビ走るところがオトンのお気に入りなんだと説明する。
後日小学生になった時クラスメイトの山内和彦君(仮名)は俺の図工の時間に作ったブリティッシュライトウェイトスポーツカーによほど衝撃を受けたのかそっくり真似て家で作って俺と浜口光彦君(仮名)に真似だ真似だと責められた。
そしてロッジの前のテーブルで嬉しそうに座ってご飯を食べているオトンオカンまだ小さい妹を描く・・・
また先生が自分は?と聞いてくる・・・・・
回りの子は家族と自分を描いていたが、俺の絵はあくまで自分視点のスケッチであり自分の目に映った風景なので自分は描かれていない。
何でこの赤ちゃんはテーブルの上にいるの?おかしいでしょ聞いてくる先生・・・
まだヨチヨチ歩きだった赤ちゃんの妹は目が離れると危ないってんでロッジのでかくて広い木のテーブルの上に乗せられハイハイしていたのが俺はおかしかったのだ。
自分も描けばとうるさく言ってくる先生にその説明し俺は描き終えたのだった。
短い時間内にしては満足出来る出来映えであった。
そしておやつの時間・・・受験生の子らにはフルーツが配られる・・・・・
その際にバナナかミカンかブドウを選ばせるのだ。
俺の前の子らは全員がバナナを選んで貰っていた。
バナナ人気モードである。
俺もバナナが好きだったけどそんなにバナナばかりオーダーすると人数分が無さそうだ・・・・
きっと俺の後ろの子らまでバナナは回るまい・・・・・
俺は機転を利かせたつもりでブドウを選んだ・・・・・・
ところがここに罠があった。
バナナは実にシンプルに食べられてゴミも実に簡単に処理出来るがブドウは食べるのには時間も要し実に複雑なアクションを要しつつ汁だらけになりゴミも散らかる・・・・・
澄ました顔してバナナをさっさと食ってゴミをわざとらしくゴミ箱はどこですか〜と廃棄した連中の中で俺はブドウと格闘しもたついた。
そんなに食べたいわけではないが、おやつの割には房が多く食べ残すのも何だか勿体ないので俺は汁だらけになりながらも最後まで食べた。
しっかりその様子をチェックしている試験官・・・・・・
結局その試験日は変で納得出来ない動物試験とホールでのやたら干渉されまとわりつかれてやりにくいお絵かきと食いにくいおやつ食って帰ってきたのだった。
結局そのお受験は不合格となり人生初の俺の汚点となった。
思い起こせばジャガーにこだわり、主張を曲げず絵にこだわり、おやつを食い散らかした俺は言う事を聞かず協調性に欠けるとでも診断されたのだろう・・・・・
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by glass-jaw-hopper
| 2011-10-26 00:08
| 哀
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